「AND JUST LIKE THAT…」コスチュームデザイナーが語る、前作「SATC」からの変化と甦らせたスタイル
1998年から2004年まで全6シーズンが放映された「セックス・アンド・ザ・シティ(以下、SATC)」が、海ドラの入り口だった人も多いだろう。コラムニストのキャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)、弁護士のミランダ(シンシア・ニクソン)、アートギャラリー勤務のシャーロット(クリスティン・デイヴィス)、PR会社経営のサマンサ(キム・キャトラル)のきらびやかなニューヨークライフと、いままで映画やドラマで語られてこなかった"女性の本音"を全開にしたストーリーに、世界中が夢中になった。ドラマ終了後にも、映画版第1弾『セックス・アンド・ザ・シティ』(08)、第2弾『セックス・アンド・ザ・シティ 2』(10)が作られている。ドラマ終了から17年、映画版から11年後、視聴者と同じように年齢を重ね、パンデミックの影響を受けた女性たちを描く新シリーズ「AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章(以下、AJLT)」が、U-NEXTで全話配信されている。
「女性の幸せの表現のために"生足"を強調しました」
「SATC」が注目された理由に、目まぐるしく変わる十人十色のファッションがあった。ドラマシリーズのコスチューム・デザイナーを務めたパトリシア・フィールドの名前が知られるようになり、映画の『プラダを着た悪魔』(06)『お買い物中毒の私』(09)、Netflixのドラマ「エミリー、パリヘ行く」などは、彼女がスタイリングを手掛けていることもヒットの一因となっている。「AJLT」でコスチューム・デザイナーを務めたのは、フィールドの片腕としてドラマシリーズの衣装部で働き、ジェニファー・ロペス主演の『セカンド・アクト』(18)のコスチューム・デザインを手掛けたモリー・ロジャース。ロジャースは、NYに到着したその日にダウンタウンにあるフィールドのナイトクラブのような店の扉を叩き、「それからずっと一緒に仕事をし、大切な友人になりました」と、自然と映像におけるファッションの世界に入った。
「SATC」がドラマにおける女性の描き方に大きな変化をもたらしたことのひとつに、"生足"がある。「ドラマが始まる前、1996年か1997年ごろにパトリシアのアパートにサラが訪れて、打ち合わせをしたときのことです。そこで『最近のNYの女性は、素足でパンプスを履いているよね』という話をしていました。そして、『ストッキングを履かない生足で行こう』と決まりました。テレビの世界では画期的なことでした。私たちは、誰にでもある、身体のなかで自信を持って見せられる部分を強調することが、女性の幸せの表現になると考えたんです」と、ロジャースは当時のことを思い返す。