柴咲コウ「2回目の成人式の年で、初体験できた」志尊淳らと“監督デビュー”で感無量!
自由で新しい映画製作の実現を目指して映画を作り上げる短編映画制作プロジェクトの第2弾『MIRRORLIAR FILMS Season2』の初日舞台挨拶が2月18日に渋谷ユーロスペースで開催され、AzumiHasegawa監督、駒谷揚監督、志尊淳監督、柴咲コウ監督、柴田有磨監督、山田佳奈監督、プロデューサーの山田孝之が登壇。志尊が「15分の作品に1年以上かかった」、柴咲が「成人式2回目の年で、初体験できてめちゃくちゃうれしい」と監督デビューを果たした感慨を語った。
志尊は監督として、無縁社会に生きながらも“つながり”を求めてもがく人々の物語『愛を、撒き散らせ』を作りあげた。「この仕事をしていると、一度は撮ってみたいという想いがあった」と念願だったという志尊は、「挑戦状じゃないですけど、試されていると思った」と監督業のオファーに気合十分だったそう。実際に監督業に挑んだことで「こんなに大変な作業なんだと。僕ら(俳優)は脚本をもらった時点から関わるので、ものづくりというのはいろいろな人の労力があって作られているんだなと思った」と発見があったという。
さらに「自分が向き合わなければいけないものを作品にした」と胸を張った志尊。15分の短編となるが、「1年以上かけてやった。作っている最中にいろいろあって止まってしまったりした」と告白。今後の監督業への意欲を聞かれると「俳優の仕事をやりながらやるとなると…。本当に労力がかかるので、簡単にやりますとは言えない自分がいるのですが」と苦笑いを見せながら、「興味はありますし、やらせていただける機会があるんだったら、俳優をやりながらではなく、一回監督として向き合ってみたいなとも思っています」と集中して再度チャレンジしてみたいと話していた。
そして柴咲コウ監督が作りあげたのは、母娘の姿から貧困や孤立など現代社会に潜む闇を映しだした『巫.KANNAGI』。山田プロデューサーからの呼びかけで参加した柴咲は、「成人式2回目の年になって、初体験できてめちゃくちゃうれしい」とにっこり。「20年以上お芝居をしていて、いろいろな監督の手腕、撮り方を間近で見させてきてもらっていながら『あれ、なんで挑戦してなかったんだっけ』と驚きだった」そうで、「山田くんに声がけしてもらってうれしい」と喜びをかみ締めた。
司会から「柴咲監督」と呼ばれると、素直に「監督と言われるのが、純粋にうれしい」と照れ笑いを見せた柴咲。「制約があるなかで工夫してやるというのが、大変なんだけどおもしろい。人生と一緒だなと思った」と人生観も明かしながら、「今回作ったもののキーワードは“孤独との対峙”なのかなと思っている。自分自身が生きていて孤独を感じることもあって、歌詞にもよく出てくる言葉が“一人”だったりする。自分と向き合って生きていながらも、他者と生きていくのが世の中。自分以外の人に想いを馳せることは、一生懸命生きていればいるほどできなかったりする。でもそういうモーメントって大切な瞬間」と作品に込めた想いを熱く語っていた。
「MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)」は、伊藤主税(and pictures)、阿部進之介、山田孝之らが発起人となり、クリエイターの発掘、育成を目的に、映画製作のきっかけや魅力を届けるために生まれた短編映画制作プロジェクト。“変化”をテーマに、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなど総勢36名が監督した短編映画をオムニバス形式で4シーズンにわけて公開している。山田プロデューサーは「監督の皆さんが、『めちゃくちゃやってよかった』と言ってくれる」とうれしそうに微笑み、「監督をするとなると、自分が伝えたいことを描くことになる。映像で伝えるって大事なこと。言葉では伝えられないことを表現で伝えられたりする。そうやって世の中に出したことによって、(観客が)また自分で調べたり、動きに変化が生まれたり。監督が作品が生みだした意味が生まれてくる」と映画の力について語っていた。
取材・文/成田おり枝