夢に突き進む動物たちの奮闘描く『SING/シング:ネクストステージ』、男たちの遅れた青春に爆笑必至の『KAPPEI』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、誰もが知る名曲の数々とともにショーに燃える動物たちの努力を描くアニメーション、人類を救う機会がなかった男たちが遅い青春を謳歌するコメディ、殺し屋女性たちが激しい銃撃戦&肉弾戦を展開するアクションの、ワクワクする3本!
ドラマも音楽もこれまた最強の仕上がり…『SING/シング:ネクストステージ』(公開中)
最終興収51億円超えのメガヒットを記録した『SING/シング』(17)の続編だが、ドラマも音楽もこれまた最強の仕上がりなので、音響のいい映画館で観てほしい。前作で起死回生の大成功を収めた劇場の支配人、バスター・ムーン(声:内村光良)とその仲間たち。“ネクストステージ”とある通り、今度は新たなステージへ進むのだが、身の丈にあった無難な目標を立てるのではなく、目指すはエンターテインメントの聖地レッドショア・シティの劇場だ!と、前作よりも数倍増しのアメリカン・ドリームを叶えようとする。バスターの「夢は大きく」という言葉が染み入る展開がアツい。日本語吹替版では、内村光良、MISIA、長澤まさみら多くの声優陣が続投。さらに注目すべきは、オリジナル版でU2ボノが演じた伝説のロック歌手のクレイ役に、稲葉浩志がキャスティングされた点だ。ロック界の大御所2人が声優初挑戦。いかに本作の音楽が“本物ぞろい”であるかということが証明されている。(映画ライター・山崎伸子)
若き2人を輝かせるため、総出で身体を張る大人の潔さ…『KAPPEI カッペイ』(公開中)
大人が全力でバカをやると笑いを通り越して感動すら覚える。想像以上の衝撃だ。世界滅亡の日が来ると信じ込まされ、幼い頃から訓練だけしてきた戦士たちが現代日本にやってきた。世界を救うはずだった彼らが体験するのは花見、合コン、ダンス、バイト、恋…平和な大学生の日常。純粋無垢な主人公、勝平を演じるのは伊藤英明。46歳、まさか裸に短パン、ベストを着こなすため、体を鍛え上げてきたわけではあるまい。シュールな原作の印象よりずいぶんとピッチピチな衣装で街を走り回る姿は完全に変態。仲間の守役の大貫勇輔はさすがミュージカル出身、体の切れが素晴らしい。が、ここもいかんせん半裸。最もとんでもない衣装がぐれてヤンキーになる正義役の山本耕史。股間になぜか馬。すごすぎてトラウマ。英雄役の小澤征悦も然り。彼らの積み上げたキャリアが心配になるほど。しかも、さんざんやっている彼らより、何もしない上白石萌歌が一番、面白い。伊藤が指でカレーを食べようが、小澤が這って草を食おうがいたって普通。戦士全員に速攻でツッコミを入れる、なにわ男子の西畑大吾も魅力的。若き2人を輝かせるため、総出で身体を張った大人の潔さ。これが大人の生き様か。(映画ライター・高山亜紀)
ガールパワーを全面に押しだしたのは新味…『ガンパウダー・ミルクシェイク』(公開中)
『オオカミは嘘をつく』(13)でクエンティン・タランティーノを唸らせ、世界を熱狂させたイスラエルの俊英ナボット・パプシャドが、またも放った痛快作。若く孤独な女暗殺者が、一人の少女を助けたことから、巨大犯罪組織を敵に回すことになる。基本設定自体は決して目新しくないが、ガールパワーを全面に押しだしたのは新味。かわいいと思うものにも、オシャレにも、そして生き方にもこだわりがある。もちろん弱みもあるが、それは生きている限り克服可能だ。壮絶な銃撃戦や肉弾戦を潜り抜け、強さを増していくヒロインはもちろん、共闘する女性たちも逞しく、ユーモアさえ武器にする人間性に惚れた。新旧実力派女優陣の大熱演ともども、見逃せない!(映画ライター・有馬楽)
映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/サンクレイオ翼
※朴ろ美の「ろ」は「王へんに路」が正式表記