クロエ・グレース・モレッツ主演『シャドウ・イン・クラウド』、頭にチタンを埋め込まれた女性を描く『TITANE/チタン』など週末観るならこの3本!

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クロエ・グレース・モレッツ主演『シャドウ・イン・クラウド』、頭にチタンを埋め込まれた女性を描く『TITANE/チタン』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、クロエ・グレース・モレッツが謎の怪物と戦うこととなるアクション、『RAW~少女のめざめ~』(18)のジュリア・デュクルノー監督最新作、カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した社会派ドラマの、スリリングな3本!

多層的な要素で描かれる物語へ感情をグイグイと引き込んでくれる…『シャドウ・イン・クラウド』(公開中)

【写真を見る】連合国空軍の大尉モードは、最高機密を運ぶ任務を任される(『シャドウ・イン・クラウド』)
【写真を見る】連合国空軍の大尉モードは、最高機密を運ぶ任務を任される(『シャドウ・イン・クラウド』)[c] Ātārangi Kiriata Limited 2020

『キック・アス』(10)のヒット・ガール役でブレイクしたクロエ・グレース・モレッツが新たに挑むのは、高度2500メートルで繰り広げられる閉鎖空間でのサスペンスアクション。空軍の女性大尉モード・ギャレット(モレッツ)は、軍の最高機密をニュージーランドからサモアへ運ぶ密命を受け、乗員は男性のみのB-17爆撃機へと乗り込む。しかし、爆撃機は飛行機を墜落させると言われる怪物グレムリンに取り付かれ、機体は少しずつ破壊されはじめてしまう。そんな最悪の状況のなか、モード大尉は無事生き残り任務を遂行することができるのだろうか…?
ミステリアスな導入、爆撃機の機銃座で行われる密室の恐怖、そして爆撃機内で展開する閉鎖空間でのアクションなどが連続する予想を超えた展開は、B級映画テイスト満点。ライド感あふれる演出と、モレッツが見せる強い意志を持つ頑なな演技が融合することで、多層的な要素で描かれる物語へ感情をグイグイと引き込んでくれる。上映時間のコンパクトさも含めて、どこか懐かしいジャンル映画的な雰囲気が楽しめるオススメの1本だ。(映画ライター・石井誠)

果たしてこれは愛なのか。愛とはいったいなにか?…『TITANE/チタン』(公開中)

頭にチタンプレートを埋め込む女性と、孤独な消防士の奇妙な共同生活を描く『TITANE/チタン』
頭にチタンプレートを埋め込む女性と、孤独な消防士の奇妙な共同生活を描く『TITANE/チタン』[c]KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020

とてつもない作品だ。痛い、苦しい、でも目が離せない。刺激の連続。幼い頃の交通事故で頭にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。男も女も魅了する彼女が執着するのは、男でも女でもなく車。人を愛さないばかりか、愛されることも拒否する彼女は次々と罪を重ね、行き場を失ってしまう。ヴァンサン・ランドン、アガト・ルセルのW主演となっているが、冒頭30分、ヴァンサンはまるで出てこない。ルセル演じるアレクシアの独壇場だ。ミステリアスな彼女が裸も気にせず、暴れまくる。なにもかもさらけ出しておきながら、性も年齢もなんの制限も感じさせない不思議な魅力に抗えない。追い詰められたアレクシアを無償の愛どころか、盲目的に受けとめる消防士のヴァンサン(ここでやっと登場)。親の愛すら知らずにいた彼女を異常な包容力で包み込む。居場所を見つけ、次第に心と体が変化していくアレクシア。果たしてこれは愛なのか。愛とはいったいなに?『ポゼッション』(80)のイザベル・アジャーニを思い起こさせる。当時は変態に思えたが、多様性のいまはどう映るのか。(映画ライター・高山亜紀)


普遍性と現代性が絡まり合い、もはや他人事ではない…『英雄の証明』(公開中)

借金により刑務所生活を送る男が、ある出来事から脚光を浴びることとなる『英雄の証明』
借金により刑務所生活を送る男が、ある出来事から脚光を浴びることとなる『英雄の証明』[c]2021 Memento Production - Asghar Farhadi Production - ARTE France Cinema

日本未公開作は未見だが、ほぼ全作“傑作”と言い切れてしまう偉才、名匠アスガー・ファルハディ。なかでも母国イランで撮った3作(『彼女が消えた浜辺』(09)、『別離』(11)、『セールスマン』(17))には、とりわけ魅せられる。9作目となる本作もまた、再び母国で撮った1作だ。イラン独自の法律や刑罰制度を知らないと戸惑う部分もあるが、そんなものぶっ飛んでしまうほど、二転三転し転がっていく事の成り行きから目が離せない。借金が返せず服役しているラヒムは、一時帰宅が許された際、婚約者から金貨が入った鞄を偶然拾ったと聞かされる。2人は金貨を借金返済に充てようとするが、換金しても借金全額には不足と分かり、一転、鞄の持ち主を探すことに。その行為をメディアが取り上げ、“英雄”と祭り上げられ――。
寄付が集まり、借金の猶予に向け世論が動き始め、かと思えば彼の行為に疑惑の目が向けられ、いきなりSNSで叩かれる。その度毎に、どうにかしたくて取ってしまう行動が、気持ちは分かるがダメ…とハラハラ動悸が加速していく。普遍性と現代性が絡まり合い、もはや他人事ではない。まるで自分が試されているような濃密な約2時間に、冷や汗たっぷり!(映画ライター・折田千鶴子)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!

構成/サンクレイオ翼

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