「ハリポタ」&「ファンタビ」を知り尽くしたデイビッド・イェーツ監督らスタッフが明かす、“魔法ワールド”づくりの裏側
4月8日に日本公開を迎え初週末に興行収入10.5億円という大ヒットを記録し、すでに累計興収20億円を突破。絶賛の声と共にその勢いが加速している『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』(公開中)でこのたび、撮影舞台裏を語る監督&スタッフからの証言を独占入手した。
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(18)以来4年ぶりの「魔法ワールド」シリーズ最新作となる本作。魔法動物を愛するシャイでおっちょこちょいな魔法使いのニュートが、ダンブルドアや魔法使いの仲間たち、そしてマグルと共に寄せ集めの凸凹チームを結成。魔法界と人間界の支配をたくらむ黒い魔法使いグリンデルバルドに“秘密の作戦”で立ち向かう姿が描かれる。
脚本を手掛けたのは、「ハリー・ポッター」シリーズの原作者でもあるJ.K.ローリング。まさにこの世界の“生みの親”であるローリングと、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07)以降のすべての「魔法ワールド」作品でタッグを組んできたデイビッド・イェーツ監督は、「ジョー(J.K.ローリング)と直接やり取りしながらの作業はおもしろく、同時に大きなメリットがあります。ジョーはこの世界の裏も表も知り尽くしていて、アイデアが次々に出てくる。パートナーとしてとてもありがたい存在です」と明かし「映画づくりは共同作業だとわきまえ、あらゆる角度から物事を検討することを好んでいます」と、原作者を含めてスタッフ間でさまざまなアイデア交換がなされているという。
一方、最新作ではダンブルドアが物語のキーパーソンということもあり、劇中にはホグワーツ魔法魔術学校のシーンをはじめとした「ハリポタ」シリーズでおなじみのアイテムや場所が続々と登場する。組み分けの儀式が行われたり生徒たちが食事をとる“大広間”や、ホグワーツ城に隠れている“必要の部屋”、さらにはクィディッチで使用される“金のスニッチ”や、“血の誓いのペンダント”などなど。本シリーズには欠かすことのできない、心ときめく美術や小道具が世界観を構築している。
『ハリー・ポッターと賢者の石』(01)以降すべての「魔法ワールド」シリーズ作品で小道具を手掛けるピエール・ボハナは「(このシリーズの仕事は)まったくもって楽しい以外、何物でもありません。この世界観のなかで常にベストな仕事ができるようにサポートしてもらえるので、再び関わることができて最高の気分です。ほかの映画でここまで小道具の奥深さを追求できるものはなく、これ以上の制作環境はないと感じています」と、20年以上にわたって携わってきたことの喜びを語る。
前作公開時に来日を果たした際のインタビューで「小道具はストーリーを語る一要素。その意識を持ったうえで常に良いものを作りだすことを心掛けています」と語っていたボハナ。本作へ臨むにあたっても「自分のスタッフだけでなく、映画に関わるすべての部署に対する責任がある。そのなかでとにかくできる限り最高の仕事をするのが僕のできる貢献です」と、揺るがないポリシーを表明。今後もさらなる進化を続けていく「魔法ワールド」シリーズは、ストーリーはもちろん登場する小道具からも目が離せなくなりそうだ。
2023年には東京都練馬区の「としまえん」跡地に「スタジオツアー東京-メイキングオブハリー・ポッター-」がオープンするとあって、本作の小道具や美術への関心はより一層強まりを見せている。一流のクリエイターたちが総力を結集させ、細部にまでこだわり抜いた「魔法ワールド」の世界を、是非とも劇場の大スクリーンで存分に味わってみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬