浪川大輔、『E.T.』生誕40周年に明かすエリオット役への感謝と名セリフのアフレコ秘話

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浪川大輔、『E.T.』生誕40周年に明かすエリオット役への感謝と名セリフのアフレコ秘話

スティーヴン・スピルバーグ監督によって産みだされ、世界中の少年少女たちを虜にしたSFアドベンチャー映画『E.T.』(82)の製作40周年を記念したトーク付き特別上映が4月22日に丸の内ピカデリーで開催され、日本語吹替版で主人公の少年エリオットの声を担当した浪川大輔、劇中アイテムである“クワハラ”のBMXを手掛ける株式会社桑原インターナショナル社長の桑原崇、ドリームアーツ代表取締役社長で元UIP映画宣伝部長の大森淳男が登壇。公開当時の思い出を振り返った。


【写真を見る】エリオット役を演じた浪川大輔、赤パーカーで登場!
【写真を見る】エリオット役を演じた浪川大輔、赤パーカーで登場!

10歳の少年エリオットと、地球にたった一人置き去りにされた宇宙人“E.T.”の交流を描く本作。会場には、“クワハラ”のBMXも登場。かごのなかにはE.T.が収まり、エリオットを思わせる赤パーカー姿で登場した浪川も、BMXにまたがってE.T.と一緒にフォトセッション。うれしそうな笑顔を見せていた。

『E.T.』の製作40周年を記念したトーク付き特別上映の様子
『E.T.』の製作40周年を記念したトーク付き特別上映の様子

劇場公開時には字幕版のみが上映され、VHS化された際に波川が吹替版のエリオット役を担当した。浪川は劇場公開時に映画館で本作を鑑賞していたといい、「子どもながらに感動しました。実際にE.T.っているんじゃないかと思った」と大いに興奮したという。

吹替版の声優についてもスピルバーグ監督が決定することになっていたそうで、浪川は「小学生のころ、自分の声、テープを送った。いまならデータで送れますが、当時は船で送ったらしく。2週間くらいかけて送ってもらって。声を送って決めていただいて、戻ってきたのがたまたま僕だった。それが尾ひれがついて『スピルバーグに認められた男』なんてたまに言われていますが。決してそんなことはなく…」と照れ笑いを見せながら、「やれてよかったなと思います。それをきっかけに、いろいろな子役の吹替えをやらせていただく機会が増えた。そういう意味では、『E.T.』はすごくありがたい作品であり、大きなキャリアの一つだなと思っています」と本作への感謝を明かしていた。

オーディションやアフレコ秘話を明かした
オーディションやアフレコ秘話を明かした

また思い出のシーンやセリフに話が及ぶと、浪川は「名シーンがたくさんある映画。どこというのは難しい」と悩みつつ、「吹替えあるある、子役あるあるなのか、ちょっと難しいなと思うことがあった」とコメント。「E.T.が死んでしまいそうになって、エリオットが『僕は君のことを一生忘れないよ、死ぬまで。E.T.、愛しているよ』というんです。日本の子ども、しかも我々の時代、なかなか『愛している』とか『一生忘れないよ、死ぬまで』とかって言わないですよね」と桑原に尋ね、2人で「言ったことない(笑)」と同調。「それを自然にいうのが、すごく難しいなと感じながらやっていました。でもシーンがとてもいいので、気持ちを込めてやらせていただきました」とアフレコ秘話を語っていた。

公開当時の宣伝マンの一人だった大森は、公開まで“E.T.の姿を明らかにしない”という宣伝手法について「当時だからできた宣伝だった」としみじみ。「40年前は携帯電話もパソコンもネットもSNSもありません。アメリカの公開は6月7日。日本が12月と、約半年の間があった。E.T.というキャラクターそのものが一番のポイントになっていますから、最後までE.T.の写真は一切出さないという戦略で、(観客の)期待感、飢餓感を狙いたかった」とE.T.というキャラクターの特別さについて語っていた。

かごのなかにはE.T.が!
かごのなかにはE.T.が!

国内ブランド“クワハラ”のBMXは、劇中に登場する印象深いアイテムだ。桑原は「当時、アメリカにも“クワハラ”のBMXを輸出をしていた。アメリカにレーシングチームもあって、有名な選手もいて、子どもたちの憧れになった。スピルバーグ監督が(映画を)撮るとなった時に、たまたま家の前にいた子どもたちに『どこの自転車がいいの?』と聞いたら、『クワハラ』と言ったそうです」と経緯を解説。「そこからアメリカの代理店に連絡が行ったんですが、情報を公開してはいけないので『25台、送ってくれ』と言われて送っても、日本で公開されるまではどういう映画に使われているかは知らなかった」と笑顔を見せていた。

貴重なトークが繰り広げられ、特別な一夜となったこの日。浪川は「40年前に公開されて、僕はビデオ版のほうに携わらせてもらって。もうあの時の声は出ないんですが、名作はずっとこの先も残っていくものだなと思う」と改めて本作の偉大さをかみ締めていた。

取材・文/成田おり枝

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