ムロツヨシ「花道が存在する以上、歩かなければ」と完成披露試写会でランウェイを闊歩
『ヒメアノ~ル』(15)、『空白』(21)の吉田恵輔監督最新作『神は見返りを求める』(6月24日公開)の完成披露試写会が1日、ニッショーホールにて開催され、ムロツヨシ、岸井ゆきの、若葉竜也、吉村界人、栁俊太郎、吉田監督が登壇した。
イベントが行われた会場は、ステージの真ん中に花道があるタイプ。冒頭のあいさつでムロは「打ち合わせの時、ここに花道があることは聞いておりませんでした。花道が存在する以上は、ここを歩くべきだと判断いたしました」とニヤリ。得意げに観客に手を振りながら歩き出すと、観客は大喜び。来場者にお礼の言葉を伝えると「今日の完成披露試写会が、皆様にとって素敵な思い出になるよう、全力で5往復はしたいと思います」と宣言し、会場の笑いを誘った。
花道を歩き、定位置に戻ったムロは「僕が最初に花道を歩いたということは…、次から(あいさつする)の人が楽しみですね」といたずらっぽく微笑み、次にあいさつ予定の岸井にバトンタッチ。一瞬、困った表情を浮かべながらも、花道のほうへ歩き出した岸井は「あれ?なんかいい気分かもしれない」とまんざらでもない様子。花道の先端付近から折り返す頃には満面の笑みになっていた。続く若葉、吉村も少し照れながらも花道を早足で歩き、吉田監督も堂々と闊歩し会場は大爆笑。栁にいたっては「転ばないように」と裸足で駆け抜け、ステージを盛り上げていた。イベント中、ことあるごとに花道を歩き出そうとするムロに、MCから「そろそろ大丈夫です」と軽く注意が飛ぶ場面もあったが、そんなやりとりにも観客はうれしそうに拍手を送っていた。
イベントでは終始、笑いを誘っていたムロだが、本作の現場ではいつもとは違う佇まいを見せていたという。「いつもなら“ニギヤカムロ”なのですが、今回は“ムロシズカ”になっていました。監督の思い描く世界にどっぷり浸かるために、1人の時間を設けていました」と振り返ったムロ。しかし、吉田監督から「でも、撮影が終わる3日前くらいからは、いつものムロさんに戻っていました」と暴露される場面も。ムロが監督に扮し、岸井を撮影するという撮影ごっこをして楽しんでいたことを明かしていた。
本作の撮影は2年前。題材として扱ったYouTuberの世界が現在のようになっていることは想像できなかったという。2年前に脚本を読んだというムロは「こんなことあり得ないだろうと思っていました。でも、SNSやYouTubeが、どうなっていくんだろうなと思いながら読んでいました。まさか…。よく読み取れましたね」と感心しきり。吉田監督は「(世の中が)こうなることは予想していませんでした。いまの世の中に僕が影響を受けているわけではありません。時代が僕をパクっています(笑)。時代が読める自分が怖い」と胸を張りながら、うれしそうに語っていた。
取材・文/タナカシノブ
※吉田恵輔監督の「吉」は「土」に「口」が正式表記