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フェミサイドを女性の視点で描く覚悟。Apple TV+「シャイニング・ガール」エリザベス・モス、ジェイミー・ベルらにインタビュー!

インタビュー

フェミサイドを女性の視点で描く覚悟。Apple TV+「シャイニング・ガール」エリザベス・モス、ジェイミー・ベルらにインタビュー!

Apple TV+でシーズン1の全8話が配信中の「シャイニング・ガール」は、この10年で躍進したテレビシリーズの集大成が観られるような作品だ。主人公となるカービー役には「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」「マッドメン」のエリザベス・モス、新聞記者を目指すカービーの上司ダンには、「ナルコス」でパブロ・エスコバルを演じていたヴァグネル・モウラ、リン・マニュエル=ミランダ作・演出・出演のミュージカル「ハミルトン」で注目を浴び、「DOPESICK~アメリカを蝕むオピオイド危機」に出演していたフィリッパ・スーなどが顔を揃える。そして、カービーとダンが追う容疑者には、子役から変幻自在の演技派俳優となったジェイミー・ベルが扮している。

Apple TV+で配信中の「シャイニング・ガール」
Apple TV+で配信中の「シャイニング・ガール」[c]Apple TV+

エリザベス・モスと共に制作総指揮を務めるのは、制作会社Appian Wayの代表レオナルド・ディカプリオ、そして第1~2話の監督も務めるミシェル・マクラーレン。「ブレイキング・バッド」「ゲーム・オブ・スローンズ」「ウォーキング・バッド」「ウエストランド」「ベター・コール・ソウル」「モーニング・ショー」…彼女がこの10年間に演出家・プロデューサーとして参加したテレビシリーズを並べると、まさに現在のテレビドラマ黄金期を支えているクリエイターだということがわかる。これだけのキャストとスタッフが揃ったドラマシリーズが、単なるミステリーに留まるはずはない。シーズンの半分ほどは、カービーが抱えるトラウマと混乱を視聴者も追体験するように描かれている。

これは原作小説とは異なるアプローチで、ショーランナーのシルカ・ルイーザによると、「ミステリーは、一人のキャラクターの視点が原則です。迷路の中にいるようなもので、目の前にあるパズルのピースしか見えない。そして、シーズン終盤になって初めて、全体像が理解できるようになるんです」との理由から、カービーの主観を中心に描いたという。なお、ルイーザは今後、アマゾン・スタジオが手掛ける、『ブレードランナー』のドラマシリーズの脚本を担当する予定だ。

過去に暴行を受けたトラウマを抱え、現在は新聞社で働くカービー(エリザベス・モス)
過去に暴行を受けたトラウマを抱え、現在は新聞社で働くカービー(エリザベス・モス)[c]Apple TV+

過去に受けた暴力のトラウマを抱えるカービーは、自身が受けた傷と類似する暴行事件に興味を示す。だが、新聞社の最下層で働く彼女の発言には誰も取り合わない。そのジレンマを、エリザベス・モスは、「カービーが直面する最大の問題は、誰も彼女を信じてくれないこと、そして、人々が彼女の話に耳を傾けないことでした。自分の身に起きたことを話しても、周囲は彼女がおかしいせいだと決めつけ信じてもらえないと、早い段階で諦めかけています。彼女が前進する道を見つける唯一の方法は、ダンという味方を見つけ、ダンが彼女を信じて話を聞いてくれた時、彼女は本当に変わることができたのです」と語る。


エリザベスはインタビュー中に何度も「話を聞き、信じる(listen to her, believe her)」という表現を繰り返していた。その理由は、これはカービーの物語であると同時に、長らく続いた男性中心の社会では、女性の物語が語られていなかったという想いにもつながっている。今作は、エリザベスだけでなく、原作のローレン・ピュークス、脚本のシルカ・ルイーザ、監督のミシェル・マクラーレンが連帯したことによって、家父長制度やトキシック・マスキュリニティ(有害な男らしさ)といったテーマにも踏み込んでいる。

エリザベスは想いの丈をこう述べた。「20〜25年前に『女性が主役の作品が3本もある!』とニュースになった時代を覚えています。それくらい、男性向けの作品ばかりでした。私が『マッドメン』に出演した時は、ようやく変化の兆しが見えてきたころで、とても幸運でした。いまでは、(『シャイニング・ガール』のように)女性が主人公で先導する、女性のクリエイターによる作品は珍しくなくなりました。厳しい時代に道を切り開いてくれた先輩たちの足跡をたどることができています」。

プラネタリウム博物館に務めるジン(フィリッパ・スー)
プラネタリウム博物館に務めるジン(フィリッパ・スー)[c]Apple TV+
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