感涙映画“カールじいさん”はなぜ風船で家を飛ばすのか?
ディズニー&ピクサーの3Dアニメ『カールじいさんの空飛ぶ家』(12月5日公開)の夫婦愛に感涙! 特に、ふたりの結婚生活のモンタージュシーンは、彼らの人生の豊かさを表現した感動シーンだ。
ふたりが出会ったのは、幼少期に秘密基地にしていた廃屋。無口でシャイなカールと、やんちゃなエリーは正反対な性格ながらも意気投合。いつもいっしょに過ごしていく内に、互いに人生の伴侶となっていく。
夫婦が歩んだ足跡が、心地よいメロディに乗せて綴られる短いモンタージュシーンがとても美しい。台詞は一切なしで、ただ『レミーのおいしいレストラン』(07)の作曲家マイケル・ジアッチーノによる調べが、ふたりの愛の軌跡に寄り添っていくだけだ。
このシーンが心に響くからこそ、エリーを失ったカールじいさんのとてつもない喪失感がより強調される。ナレーションなんて不要だ。ただ、ふたりの睦まじい表情と愛の調べがあるだけでいい。
その後カールの家周辺が開発地区となり、カールは家の立ち退きを要請されるが、断固拒否をする。これもこのシーンを観た後なら納得。なぜならあの家は、秘密基地だった廃屋をリフォームしたもので、妻との想い出が詰まった宝箱だから。そして、彼はその家と共に旅に出る……。
見た目はおちゃめな3頭身のカールじいさんだが、随所で涙腺を刺激していくところがニクイ。観終った後は、妻への底知れぬ愛にジーン……。ぜひハンカチ必携で劇場へ。【Movie Walker/山崎伸子】
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