MGMとワーナーの海外配給提携でなにが変わる?ティモシー・シャラメ最新作など今後注目の映画たち

映画ニュース

MGMとワーナーの海外配給提携でなにが変わる?ティモシー・シャラメ最新作など今後注目の映画たち

今年3月にAmazonによって買収された老舗映画スタジオのMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)。「007」シリーズや「ロッキー」シリーズの製作配給で知られ、近々にはリドリー・スコット監督作『ハウス・オブ・グッチ』(21)やポール・トーマス・アンダーソン監督作『リコリス・ピザ』(上映中)、ジョー・ライト監督作『シラノ』(21)などがMGM作品として劇場で上映されてきた。ところが、2022年3月にAmazonによるMGM買収が正式合意したことにより、様々な変化が訪れている。

レディ・ガガ主演、リドリー・スコット監督作の『ハウス・オブ・グッチ』(21)
レディ・ガガ主演、リドリー・スコット監督作の『ハウス・オブ・グッチ』(21)[c]Everett Collection/AFLO

ルカ・グァダニーノ監督作や「ロッキー」シリーズ最新作がワーナーによる海外配給へ

前述の作品群は、アメリカではMGMの姉妹会社であるUA(ユナイテッド・アーティスツ)が配給を行い、Amazon買収後もUAが継続して劇場配給を担うと発表されている。この買収以前、MGM作品の海外配給はユニバーサル・グループのUIP(ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ)が担当し、日本では東宝東和が配給を行なっていた。ところが、アメリカ時間8月14日にMGMとワーナー・ブラザーズが海外配給提携で合意したとのニュースが、Deadlineの独占記事で報じられた。この提携により、MGMが今年3月に世界配給権を取得していたルカ・グァダニーノ監督の『Bones And All』(11月23日北米公開予定)や、「ロッキー」シリーズ最新作をマイケル・B・ジョーダンが初監督する『Creed III』(2023年3月3日北米公開予定)などは、ワーナー・ブラザーズによって海外配給されることになる。

【写真を見る】ルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメが再タッグを組んだ『Bones And All』(11月23日北米公開予定)
【写真を見る】ルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメが再タッグを組んだ『Bones And All』(11月23日北米公開予定)Photo Credit Yannis Drakoulidis / Metro Goldwyn Mayer PicturesCopyright [c] 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

MGMの作品群のなかで歴代最高の興行成績を収める「007」シリーズの最新作『Bond26』や、シノニエ・チュウク監督の『Till』(10月14日北米公開予定)、サラ・ポーリー監督の『Women Talking』(2022年北米公開予定)はこの契約に含まれない。『Bond26』に関しては、前作の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(20)で6代目ジェームズ・ボンドの役目を終えたダニエル・クレイグの後任も発表されておらず、製作開始まであと数年を要すると見られている。MGMとワーナー・ブラザーズとの国際配給契約は複数年に及ぶものなので、『Bond26』以降の「007」映画がワーナー映画として配給される可能性がある。

実は、MGMとワーナー・ブラザーズの結びつきは深い。MGM映画の元会長マイケル・デ・ルカ氏とMGM映画社長のパム・アビー氏は、Amazon買収後にワーナー・ブラザーズに移籍し、ワーナー・ブラザーズ会長兼CEOとしてこの契約をまとめたといわれている。歴史をひも解くと、MGMの過去作品のうち、1948年以前に作られた『風と共に去りぬ』(39)や『オズの魔法使』(39)、『トムとジェリー』(42)といったクラシック作品は、1986年にMGMがTBS(ターナー・ブロードキャスティング・システム)に買収された際に権利も移譲し、現在はTBSの親会社であるワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーが権利を保有している。2021年5月にAmazonが84億5000万ドル(約9200億円=当時)でMGMを買収した際に、ワーナーが保有する作品のIPの移譲可否も問題になっていた。2社が提携関係にあれば、配信への移行もスムーズに進むだろう。

『風と共に去りぬ』(39)ほか、クラシック映画の権利を保有しているのはワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー
『風と共に去りぬ』(39)ほか、クラシック映画の権利を保有しているのはワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー[c]Everett Collection/AFLO


関連作品

  • リコリス・ピザ

    3.7
    668
    世界三大映画祭で監督賞を受賞。1970年代のアメリカを舞台に恋模様を描きだす
    Prime Video
  • シラノ

    4.0
    560
    戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」をジョー・ライト監督が再構築したミュージカル映画
    Prime Video
  • ハウス・オブ・グッチ

    3.8
    2139
    グッチ家崩壊のきっかけとなる謎めいた女性を中心にマウリツィオ・グッチ殺害事件を描く
    Prime Video U-NEXT