宮崎吾朗監督が「ジブリパーク」の誕生秘話を明かす「動機の一つは宮崎駿監督の引退宣言」

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宮崎吾朗監督が「ジブリパーク」の誕生秘話を明かす「動機の一つは宮崎駿監督の引退宣言」

10月12日、愛知県の「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」内にある、スタジオジブリの世界を表現した「ジブリパーク」の内覧会が開催され、パーク制作現場を指揮する宮崎吾朗監督と、愛知県の大村秀章知事が記者会見に登壇した。

11月1日(火)に第1期開園を迎えるのは「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の3エリア。自分の足で歩いて、風を感じながら、ジブリ作品の秘密を発見していくことができる。

いよいよジブリの世界へ
いよいよジブリの世界へ[c]Studio Ghibli

2017年に愛知県とスタジオジブリが、愛・地球博記念公園でのジブリパーク構想の整備を合意。大村知事は「2005年の愛・地球博(愛知万博)は、人、生き物、地球に対する愛という主旨がありまして、ジブリ作品でも同じようなメッセージが含まれていて、まさに見事にシンクロしています。未来に向かってメッセージを発信していくということで、万博会場のレガシーを活かした、多くの方に日本を代表するジブリのコンテンツがギュッと詰まったパークを1日でも早くお見せしたい」と自信をのぞかせる。

愛知県の大村秀章知事がジブリパークの建設について語る
愛知県の大村秀章知事がジブリパークの建設について語る[c]Studio Ghibli


「いま記者会見が行われている『ジブリの大倉庫』はかつて温水プールでした。その現場に最初に立ったのが丸5年前です。知事に最初、『何年でできる?』と聞かれて、三鷹の森ジブリ美術館が丸3年かかったから、『5年ですかね』と口から出任せで答えましたけど、約束が守れて本当によかった」と宮崎吾朗監督が感慨深く語った。

「ジブリパークを作る動機の一つとして、宮崎駿監督が長編作品から引退すると宣言したことです。後世に残していくためにという発想から、多くの人にジブリ作品を忘れられないようにしたいという想いがありました」と宮崎吾朗監督がジブリパーク誕生につながるきっかけを振り返った。「ところが相変わらずまた裏切られまして、宮崎駿監督はいま長編映画を作っています。はしごを外された気持ちでいっぱい」と苦笑い。

宮崎吾朗監督がジブリパーク誕生のきっかけを明かす
宮崎吾朗監督がジブリパーク誕生のきっかけを明かす[c]Studio Ghibli

愛知にあるジブリパークと東京にある三鷹の森ジブリ美術館との関係性について、「ジブリ美術館はジブリ作品を取り扱っているというよりも、アニメーション映画を作るのはこういうことだというのを宮崎駿監督が表現している場です。ジブリ美術館発でやる展示がたくさんありますので、それをより拡大、拡張した形でジブリパークでもやるという連携がとれたらいいなと思っています」と語る。

さらに、「『ジブリの大倉庫』を作ったきっかけは、ジブリがいろんな展示会で、たくさんの造作物を作ってしまって、それがやたらと倉庫にたまっていて困っていたという現状がありますね」と現場の笑いを誘った。「今後もジブリ美術館で造形物を作って、ここに持ち込むんですけど、そういう意味では、すでに連携が取れていると思います」。

パークのデザインと自然の関係性について、宮崎監督が「私たちの考えとしては、建物は建物としてあるだけで美しいのではなく、横に木が1本でもあることによって風景になるということです。今回ジブリパークを作って、改めて周りが公園であることが恩恵だと思います。公園の樹木があることで、建物がまるで昔からあったように見えるのは本当にすばらしいことです。我々が自然に気を使ったというよりも、我々が自然に助けてもらっているのが正確かな」としみじみ。

【写真を見る】色鮮やかなタイル装飾の階段。ここでどんなジブリキャラクターを見つけられるか?
【写真を見る】色鮮やかなタイル装飾の階段。ここでどんなジブリキャラクターを見つけられるか?[c]Studio Ghibli


「我々がこの場所に最初に関わったのは、愛知万博のサツキとメイの家をパビリオンとして建てたことです。万博後も残しました。今回の話につながったのも、サツキとメイの家が残っていたからだと思います。あんな小さな家ですけど、毎年かなりの数の方が訪れてくださって。あんまり拡大主義に走らず、まずあるものをきちんといい状態で維持していくことを心掛けたい」と締めくくった。

第1期の3エリアに続き、第2期の「もののけの里」「魔女の谷」が2023年度に開園する予定。

取材・文/編集部

※一般のご来園者は撮影できないエリアがございます。

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