ヒュー・ジャックマン、『LOGAN/ローガン』の過酷な撮影で失神!

インタビュー

ヒュー・ジャックマン、『LOGAN/ローガン』の過酷な撮影で失神!

ヒュー・ジャックマンが『LOGAN/ローガン』(6月1日公開)で、ウルヴァリンことローガン役にピリオドを打つ。タイトルが、X-MENとしての呼び名ウルヴァリンではなく、人間ローガンを打ち出していることも感慨深い。本作で来日したヒューを直撃し、最後の作品に懸けた思いや、引き際の美学について話を聞いた。

『LOGAN/ローガン』は、治癒能力を失いつつあるローガンが、絶滅の危機にあるミュータントの少女ローラを守るため、強大な敵と死闘を繰り広げる。全米では3月3日に公開され、3日間で興行収入8530万ドル(約97億円)を上げた。全世界では6億ドルを突破し、『ウルヴァリン』シリーズの中でもナンバー1ヒットを記録した。

過酷を極めた本作のロケのなかでも、特に大変だったのが3000mくらいの高地での撮影だった。「僕は富士山に登ったことがあるんだけど、今回はそれに近いような高地でアクションシーンをやったんだ。ランチを食べて現場まで行くだけで息切れするような場所だ。みんなはただ歩いているだけだから良かったけど、僕は何度も走って上がったんだ。あるシーンでは、本当に倒れて失神したよ」。

本作で、満身創痍状態での戦いを強いられていくローガン。さらに「老い」という現代社会の普遍的な社会問題もストーリーに織り込まれている。「老いは本作ではすごく大事なテーマだ。彼はずっと戦士だったが、いまは関節が痛かったり、体全体が毒されていっているし。ウルヴァリンの年齢はおそらく200歳以上いっているから、彼の知人や愛した人はみんな死んでしまっているわけで。精神面でもすごく重いものを抱えているよね」。

そんなウルヴァリンの役作りのため、ある俳優のアプローチの仕方をまねたと言う。「その俳優は20歳から80歳までを1人で演じた役者なんだが、年齢を6段階に分けて、6つの石を用意し、それをかかとに入れていたそうだ。年をとるにつれ、石がだんだん研ぎ澄まされた形のものになっていき、だんだん腰にも響いてくる。とにかくかかとが痛かったよ」。

また、ウルヴァリン同様に、年老いて介護されているプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの姿がショッキングだ。今回の撮影でパトリックと対面した時、実はヒューも驚愕したそうだ。

「『ウルヴァリン: SAMURAI』(13)の撮影直後に、ジェームズ・マンゴールド監督から本作のアイデアを聞かされたんだ。それから数ヶ月後に現場に入った時、パトリックと会ってショックを受けたよ。なんと彼は10kg近く体重を落としてきたんだ。すごくやせ細っていて、メイクもしていたから本当に驚いたよ」。

さらに、電動の車椅子が動きすぎて、パトリックが転がってしまったそうだ。「でも、彼は倒れてからくるっと一回転して立ち上がったんだ。僕は彼の実年齢(76歳)を知っているから、そんなこと可能なの?とびっくりしたよ(笑)。まあ、実際のパトリックは、ローラ役のダフネ・キーンのように好奇心旺盛で、まるで少年みたいな人なんだけどね」。

長年チャールズ役を演じてきたパトリックは、ヒューにとって「大切な親友」だと言う。今回、ローガンとチャールズが語り合う味わい深いシーンもあるが、そのシーンにはとてもやりがいを感じたそうだ。

それにしても17年間演じてきたローガン役を最後にするということで、燃え尽き症候群にはならなかったのか?と聞くと、ヒューは「NO!燃え尽きないよ」と余裕しゃくしゃくだ。

「だからこそ、燃え尽きる前にやめたかった。よくパーティに行って、帰ろうと思ったのにあともう1杯を飲んでしまい、朝になって頭が痛くなることがあるけど、何でもどこでけりをつけるかが大事なんだ。もしもパーティでちゃんといい時に帰っていれば、次の朝も快適に過ごせるでしょ。長くやりすぎるのはよくない。だから僕も今はすごくいい気分だ」。

また、今後『ウルヴァリン』シリーズのリメイク作品ができたとしたら参加したいですか?と尋ねると、ここも「NO!」ときっぱり言い切る。「その時は観る側に回りたい。僕はずっと台所で調理をする側だったから、今度は料理を食べる側になりたい」と笑顔で語ってくれた。

また、今後については「まだ内緒だよ」といたずらっぽい表情で答えてくれたヒュー。終始、見せてくれた笑顔には一点の曇りもなく、ローガン役を全身全霊でやり切ったという達成感がにじみ出ていた。【取材・文/山崎伸子】

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