イニャリトゥ監督のこだわりが詰まる『バルド、偽りの記録と一握りの真実』最終予告&キービジュアル到着
Netflixにて12月16日(金)より独占配信される『バルド、偽りの記録と一握りの真実』。本作より、最終予告編とキービジュアルが解禁となった。
本作は映画界を代表する偉才アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥが、『レヴェナント』以来手掛ける長編映画。ロサンゼルスを拠点に活躍する著名なジャーナリストの主人公シルベリオ・ガマ(ダニエル・ヒメネス・カチョ)が、権威ある国際的な賞の受賞が決まったことで、母国であるメキシコへと旅立つ。しかし彼は、この旅行をきっかけに生きる意味すら見失うことになってしまう。
解禁された予告編では、ビートルズの名曲「I Am the Walrus(アイ・アム・ザ・ウォルラス)」が印象的に鳴り響き、イニャリトゥ監督がこだわり抜いた、美しい映像世界を体験することができる。アカデミー賞撮影賞ノミネートのダリウス・コンジを撮影監督に迎え、65mmフィルムで撮影された映像は、現実味がありながら、幻想的でどこか虚構にも見え、“偽り”と“真実”の区別がつかないほどの美しさ。旅を通じて、過去の自分の愚かさや恐怖心がシルベリオに迫り、彼の日常は戸惑いと疑問であふれていくことになるが、映像でも、「どこにいるの?」、「わからない」、「俺の故郷だ」、「違います。あなたの故郷じゃない」、「皆、故郷が一つはあると思ってるが、どこにもない」…という印象的なセリフが交わされ、偽りと真実が曖昧になっていく様が描かれていく。
イニャリトゥ監督が「私は映画のためにこれほどまでに準備したことはありません。脚本から制作まで6年間の旅でした」と、本作へ込めた情熱を語る。例えば、キービジュアルでもある大勢が入り乱れるダンスホールのシーンについては、撮影監督のダリウスが「何千、何万ものさまざまな照明をさまざまな場所に配置した」、VFXスーパーバイザーのギョーム・ロシェロンも「このシーンには殆ど視覚効果がなく、すべてワンテイクで撮影しました。縫い目もありません。綿密なリハーサルをしました」と振り返っている。
さらに音響にもこだわりが詰まっているようで、キャスティングのマルティン・エルナンデスは、「映画の効果編集者と一緒に、24時間、アパートを録音しに行きました。窓際、階段の吹き抜け、部屋の裏側、アパート全体をマイクで覆って、24時間分の音響動植物の録音をしたんです」と語っている。“自分とはなにか?”や、自分の故郷との向き合い方、そして大切な家族との絆といった、普遍的で本質的、誰もが抱える問題やテーマに対して、シルベリオは感情豊かに、時に笑いを交えながら向き合っていく。
その予測不能な旅はどこへ向かうのか?偉才イニャリトゥが、“人間であること”の意味を教えてくれる“人間賛歌”を全身で体感してほしい。
文/サンクレイオ翼