森川葵、華やか着物で登場!間近で見た野村萬斎&佐藤浩市の姿とは?
実在した花の名手・池坊専好を野村萬斎が演じる映画『花戦さ』(6月3日公開)で、若手女優の森川葵が瑞々しい存在感を発揮している。21歳という若さながら、作品ごとに全く違った表情を見せる変幻自在ぶりで、映画・ドラマにと引っ張りだことなっている彼女。本作で、“心に傷を負った少女”という難役に挑戦した森川が、ベテラン俳優陣との共演で得たものとは?女優として「どんな花を咲かせたいか」という今の気持ちにまで迫った。
本作は、秀吉の権力が栄華を極めた時代を舞台に、暴君・秀吉に刃ではなく、花をもって戦いを挑んだ男・池坊専好の姿を描く痛快時代劇。森川は河原に捨てられているところを専好に助けられた娘・れんを演じている。言葉も発さず、部屋の片隅にうずくまっていたれんだが、次第に画才に目覚め、絵を描くことで解放感を得ていく役どころだ。
森川は「れんはセリフで語ることをせず、目で訴えるような女の子。ここまで話さない役も今までなかったので、どうなってしまうんだろうという不安はありました」と吐露。「でも私も、仕事モードの時は誰とでも話すことができますが、プライベートになると表に出ないことが多くて。れんの『自分の殻に閉じこもっていたい』という部分には、プライベートの引きこもりの私を注ぎ込んだかもしれません」とお茶目に笑う。
さらに手がかりとなったのは、劇中に登場するれんの絵を描いた現代アーティスト・小松美羽の存在だ。「撮影が始まる前に、小松さんが絵を描いているスタジオに伺って、制作風景を見させていただいたんです。絵を描かれる方って、ひとりの場所に閉じこもって取り組んでいるイメージがあったんですが、小松さんは周囲に人がいても全然平気という方で。集中力がまったく途切れない。そんな小松さんの姿を見て、れんという女の子がちょっとつかめたような気がしました」と小松の集中力から役をつかみ取った。「絵を描く方から刺激をいただいて、役を作り上げていったのは初めての経験です」。
野村萬斎をはじめ、錚々たる俳優陣との共演が叶った。萬斎との共演では、こんな発見も。「時代劇だと思うと、『今の自分とリンクさせて動いてはいけないんじゃないか』と考えてしまって、動きが固まってしまっていたんです。でも萬斎さんの演じる専好さんを見ていると、ものすごく自由に動き回っていて。生きている時代が違うとはいえ、人間というものには変わりない。深く考え過ぎずに、思ったように動いてみようと思うことができました」。
また千利休役の佐藤浩市からは「フォトジェニックだ」という言葉をもらったという。「『それぞれの映画で見た時の印象と、いい意味でいつも印象が変わる女優さんだ』と言ってくださって。私は『いろいろな人間になりたい』と思ってこのお仕事をやっているので、すごく褒められたような気持ちになって。ものすごくうれしかったです」と女優道を邁進する上でも、大きな励みとなっている。
作品を重ね、女優として着実にステップアップしているが、森川本人は「私なんてまだまだ」と苦笑い。“花”をテーマとした映画に出演した彼女だが、女優としてどんな花を咲かせたいだろうか?
すると「変な自信をつけた花は咲かせたくないと思っています」とまっすぐな眼差しを見せる。「『いらない自信を持ってしまっているな』と思う時があるんです。間違った自信を取り除きたい」と自分への厳しさをのぞかせつつ、「『私、きれいよ!』という花ではなくて、水や太陽を周囲からもらって、みんなに育ててもらったからこそ咲くことができた花になりたい」と周囲を見渡すことができる、芯のある女優になりたいという。
本作で共演したベテラン陣の立ち居振る舞いからも、「みなさん、たくさんの人に認められるお仕事をされてきて、自信を身につけてきたんだと思います。だからこそとても謙虚だし、周りにも優しい。すごく素敵だなと思いました」と刺激を受けることばかり。「実力の伴った自信を身につけるためには、続けていくしかない。『森川葵にやらせてみたい』と思っていただけるならば、色々な役をやってみたいです」としっかりと未来を見つめていた。【取材・文/成田おり枝】