『ブラックアダム』が北米興収V2を達成!ホラー映画4作がしのぎを削ったハロウィン決戦のゆくえは
先週末(10月28日から30日)の北米興収ランキングは、前週初登場1位を飾った『ブラックアダム』(12月2日日本公開)がV2を達成し、公開9日目の土曜日の段階で興収1億ドルの大台を突破。とはいえ10月全体の興行収入を見てみると前年比75.2%。公開本数は119本と徐々に取り戻しつつあるとはいえ、抜けたヒット作が登場しない寂しい1か月となった。
ハロウィンの週末とあって、やはり目を引くのはホラー映画の大活躍だ。ベストテン圏内には4作品のホラー映画がランクインを果たしており、週末3日間の興収としては公開されたばかりの『Prey for the Devil』が興収718万ドルで最上位で、全体でも3位にランクイン。以下4位の『Smile』が543万ドル、5位の『ハロウィン THE END』(2023年4月日本公開)が405万ドル、そして8位の『Terrifier 2』が190万ドルと続く結果に。
ではハロウィン当日の月曜日の成績はどうか。順位としては上記と変わらない並びとなったが、106万8973ドルを売り上げた『Prey for the Devil』と106万1708ドルを売り上げた『Smile』の差がぎゅっと詰まる結果に。9月下旬に公開されてから週末ランキングでも上位を守り続け、10月全体の興収でも『ブラックアダム』に次ぐ成績を叩き出した『Smile』。これが今年のハロウィンホラー映画の勝者といってもいいだろう。早く日本公開が決まってほしいものだ。
さて再びランキング全体に目を向けてみると、以前紹介した『Till』が拡大公開に成功して前週の13位から6位へと一気に飛躍。同じく大幅に劇場数を増やしたケイト・ブランシェット主演の『Tár』もベストテン圏内に滑り込みを果たした。11月下旬にはインディペンデント・スピリット賞のノミネート発表から、第95回アカデミー賞に向けた賞レースが本格的にスタートする。興行的な存在感は賞レースを左右する重要なポイントにもなるだけに、この両作はやはり注目しておく必要があるだろう。
一方でアン・ハサウェイ、アンソニー・ホプキンス、ジェシカ・チャスティンら豪華キャストが集結し、製作発表の頃から賞レース参戦が期待されていたジェームズ・グレイ監督の『Armageddon Time』は6館で限定公開され、24位にランクイン。1館あたりのアベレージは11712ドルとあまり伸びきれておらず、批評家からの評価も平凡なものにとどまっている。
11月の1週目には『ONE PIECE FILM RED』(日本公開中)が北米公開を迎え、その翌週には『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(11月11日公開)とスティーヴン・スピルバーグ監督の『The Fabelmans』と、興行的にも賞レース的にも注目の作品が立て続けに公開される。これは大いに楽しみだ。
文/久保田 和馬