綾野剛、村上虹郎の教習所エピソードに「サイコーだな!」と笑い止まらず
藤沢周の同名小説を映画化した『武曲 MUKOKU』の初日舞台挨拶が6月3日に新宿武蔵野館で開催され、綾野剛、村上虹郎、熊切和嘉監督が登壇。「教習所の応急救護で本気の芝居をした」という村上のエピソードに、綾野が「サイコーだな!」と爆笑した。
本作は、剣道五段の腕前を持ちながら、ある出来事がきっかけで進むべき道を見失ってしまった研吾と、天衣無縫の高校生・融との宿命の出会いを描く物語。この日は、対決を描く物語にちなみ、「戦ったエピソード」を披露することとなった。
「最近、車の教習所を卒業した」という村上。「応急救護のときって、芝居するじゃないですか」と切り出し、「7人くらいの人と一緒だったんですが、僕が一番最後で。数人に『アイツ、役者だ』とバレているんです。芝居だから、僕も本業だし『ちゃんと声出していこう』と思った」と本気で芝居をしたと明かす。
会場が爆笑に包まれるなか、綾野も「サイコーだな!」と笑顔。村上が「呼吸確認よし!」と実演して見せると、「ちゃんとやったんだね。いいねぇ。いつか見たいね、そういう芝居」と笑いが止まらなかった。
劇中では、生きる気力を失った男を演じた綾野。「自分の演じる役に対して『かわいそう』だと思ったのは初めて。そして、ここまで『生きているな』という実感をしながら役を生きたのも初めてだというくらい、体内に入ってきた」と初めての経験を振り返り、「フィジカル面はアスリート並みにして現場に入れた」と胸を張る。
役者としてあらゆる役、作品と対峙してきたが、綾野は「自分と向き合うことをやめてしまうと、自分は役者としてやっていけないんだと思った」とじっくりと語る。
「自分と向き合っていない作品は、お客さんにも届かない。今の自分の立ち位置やパブリックイメージも含め、『自分とちゃんと戦えているか』ときちんと確認して、実感して、体感していかなければいけない。そうしたものを、よりよい形でみなさんに解き放っていかなければいけない」と真っ直ぐな思いを明かしていた。【取材・文/成田おり枝】