戸田恵梨香「穏やかな家庭を築きたい」理想の母親像を告白!『母性』原作者・湊かなえからの絶賛に笑顔あふれる
累計発行部数120万部を突破した湊かなえによる同名小説を映画化した『母性』の初日舞台挨拶が11月23日に新宿ピカデリーで開催され、戸田恵梨香、永野芽郁、廣木隆一監督、湊が登壇。“娘を愛せない母”役として新境地に挑んだ戸田が、「穏やかな家庭を築きたい」と自身の理想の家庭像を語った。
“娘を愛せない母”、ルミ子(戸田)と、“母に愛されたい娘”、清佳(永野)、それぞれの視点である事件を語り、次第に食い違う2人の証言から、事件の秘密と母娘の関係性を描きだす本作。戸田と永野はドラマ「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」でも先輩・後輩役として共演しているが、本作の撮影はそれ以前となる昨年の4月に敢行。本作の撮影が、2人の初共演となる。
いよいよ初日を迎えたが、完成作を観た時に「こんなに不思議な感覚になったことはない」と客観的に観られなかった作品だと明かした戸田は、「世代や異性、男性によっても見方が異なってくる作品だと思う。これから皆さんが誰に感情移入し、どのように受け取るのか興味深い。皆さんの声を聞けるのが楽しみです」と反響を期待していた。永野は「初日を迎えちゃったので、戸田さんと過ごす時間がだんだん終わりに近づいている」と寂しい胸の内を吐露。「今日は皆さんを置き去りにして、私が楽しみたい」と戸田への愛着を語り、「戸田さんに初めてお会いできたのが『母性』。初めてお会いした日のことを思い出しながら、今日の朝は来た」と笑顔を見せていた。
原作者の湊は、映像化された作品を観て発見があったという。「(小説を)書いている時にも映像が浮かんでいて、ルミ子や清佳の表情が頭のなかにあったはずなんですが、映画を観たら『このセリフは、ルミ子はこんな表情で言っていたんだ』『清佳はこんな顔で聞いていたんだ』とお2人に教えていただいたような気がしている」とコメント。ルミ子と清佳、それぞれの言い分によって、起きた出来事の見え方やその時の感情がまったく違ってくることを映像として描いている点が大きな見所となるが、「同じ場面でもルミ子からの視点、清佳からの視点から見る時で、涙の出方は一緒でも表情が違う。すごいことだな!と思いました」と女優陣の熱演に感激しきり。
湊からの絶賛の言葉に、戸田は「恐縮です」と照れ笑い。「私はやった作品について、その時に『ここが反省点だな』と気付けることって滅多にないんです。ある程度時間が経ってから、自分が成長できた時に『こういうふうにできたんだ』と気づく」と切りだしながら、「でも今回は、あそこの表情を間違えたなと気づいた」とあるシーンについて告白。これには湊も驚いていたが、戸田が「あそこは大地真央さん演じる母を、自分(ルミ子)に投影すべきだったと気づいた」と続けると、湊は「いまそれを聞いて『ああ、そうか』と教えてもらったよう。でも私には、その奥に大地さんが見えましたよ!」とルミ子という女性について、2人で議論を深める場面もあった。
また永野演じた清佳についても、湊は「しゃべっている時よりも、セリフがない時のほうが、『いま清佳がこういうことを考えているんだ』ということが、すべて永野さんの表情で伝わってきた。セリフではなく、いま置かれている現状を表現できるってすばらしいなと思いました」と惚れ惚れ。永野は「うれしいです。自分自身も悩みながら演じていた。生みだされた湊さんに少し認めてもらえた気がして、安心しました」と安堵の表情を浮かべていた。
“母性”をテーマにした映画とあって、「どんな母親になりたいか?」と理想を聞かれるひと幕も。戸田は、ルミ子の母を演じた大地真央の名前をあげながら「大地さんを通した母を見ていて、いつでも笑顔でいるお母さんってすてきだなと思った。自分も笑顔で過ごせるために、心のゆとりを持てるようになりたいし、穏やかな家庭を築きたいなと思いました」としみじみ。「まだ、自分が母親になるイメージがまったくできない」という永野は、「私自身、母と仲が良いので。なんでもその日の出来事や、いいことも、悪いことも全部共有できる母になりたい」と自身の母が理想だと語っていた。
取材・文/成田おり枝