『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が圧勝で北米初登場V!観客からの評価は前作以上に
ついに公開されたジェームズ・キャメロン監督の『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(日本公開中)。先週末(12月16日から18日)の北米興収ランキングは、大方の予想通り同作が初登場1位を獲得。一つ前の週の全体興行収入がわずか3764万ドルだったことを考えれば、全体の興行収入のおよそ88%を占める圧勝となったことも当然と言えるだろう。
北米では4202館で公開され、3日間興収1億3410万ドルを記録した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』。2022年の公開作としては『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』『ソー:ラブ&サンダー』に次ぐ5位のオープニング成績。歴代で見ても37位と、前作が全世界歴代興収No. 1作品であることを踏まえたら、少々物足りなくも見える。
しかしながらその前作のオープニング興収はたったの7702万ドル(超大作=1億ドル突破がデフォとなったいまとなっては“たったの”と言ってもいいだろう)。そのまま少ない下落率を保ちながら7週連続1位を守り続け、当時の北米では史上初めて興収7億ドルの大台に到達。本作がどこまで興収を伸ばせるかは、前作のような持続力を再現できるかにかかっている。
そこで気になるのは、やはり作品評価だ。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、本作への好意的評価の割合は批評家が78%、観客が93%。前作はどちらも82%で、前述したような興行に加え、同年のアカデミー賞では作品賞を含む9部門にノミネートされ技術部門を中心に3部門を受賞している。すでにノミネーションが発表されているゴールデン・グローブ賞でも作品賞(ドラマ部門)等に挙がっており、アカデミー賞での期待値もまずまず高い。いずれにせよ観客からの評価の高さは、興行面で非常に大きな後押しとなることだろう。
そんな『アバター』一色に染まった興収ランキングで、8位に初登場を果たしたのは、前回紹介した「Fathom Events」の配給のもとで公開75周年のアニバーサリー上映が行われたフランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』(46)。公開当時はあまり芳しくない興行だったと言われているが、現在ではクリスマス映画の定番作品として、アメリカ映画史に残る不朽の感動作として語り継がれている。
今回の再上映は日曜日から木曜日までの限定的なものではあるが、18日の日曜日だけで73万4571ドルの興収をあげ、デイリー興収で4位にランクイン。21日の水曜日にも57万8703ドルの興収でデイリー6位に入り、今回の再上映だけで興収137万ドルを突破。イギリスやオーストラリアでも同様に記念上映が行われており、前者でも興収ランキングのベストテンに入っているようだ。
最新鋭の映像技術を余すところなく駆使した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の影で、映画黄金期の名作が善戦しているというのは実に感慨深いものがある。アメリカの映画文化の多様さを感じる、クリスマス直前のランキングとなった。
文/久保田 和馬