『金の国 水の国』谷生俊美プロデューサーが明かす、賀来賢人&浜辺美波を抜てきした理由

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『金の国 水の国』谷生俊美プロデューサーが明かす、賀来賢人&浜辺美波を抜てきした理由

岩本ナオによる同名漫画をアニメーション映画化した『金の国 水の国』(1月27日公開)のMOVIE WALKER PRESS試写会が1月19日に東京都内で開催され、谷生俊美プロデューサーが登壇した。

本作の主人公となるのは、“金の国”のおっとり王女サーラ(浜辺美波)と、“水の国”の家族思いの建築士ナランバヤル(賀来賢人)。敵国同士の身でありながら“偽りの夫婦”を演じることになった2人が、お互いへの想いを胸に秘めつつ、国の未来を変えようとする姿を描く。

「金曜ロードショー」のプロデューサーを6年半の間、務めていたという谷生。「なぜこの原作をいま映画化しようと思ったか」という問いについて、「いま、アニメーションがたくさん作られている。そんななかで、金曜ロードショーでかけられるような王道のエンタテインメントを届けていきたいと思っていた」と幅広い世代に安心して観てもらえるような作品を探しながら、この原作に出会ったそうで「ストーリー展開も起伏に富んでいて、キャラクターも魅力的。多くの方に共感していただける要素があると思った」と大いに魅力を感じたと振り返る。

【写真を見る】観客からの質問にも答えた谷生俊美プロデューサー
【写真を見る】観客からの質問にも答えた谷生俊美プロデューサー

初めてのプロデュース作品として細田守監督の『竜とそばかすの姫』(21)も手がけたという谷生だが、本作と『竜とそばかすの姫』には共通点も感じていると語る。「『竜とそばかすの姫』の主人公のすずちゃんは、自分に自信が持てなくて、心に傷を抱えている女の子。そんな彼女がいろいろな出会いを通して成長して、自分の足で未来への一歩を刻んでいく。そして『金の国 水の国』のナランバヤルは弁が立つし頭も切れるけれど、うだつの上がらない青年。サーラは王女ではありながらも、王位継承権の蚊帳の外にいる。つまり、2人ともアウトサイダー。そんな2人が出会って、パッションで世界を変えていく」と両作品の登場人物について解説し、「どちらもアウトサイダーで、はみ出し者たちの物語というところは共通している」と分析する。

傷を乗り越え、自分自身を受け入れていく様子を描いた物語には、人々を惹きつけるものがあると続けた谷生。さらに金曜ロードショーの仕事において、来日したエディ・レッドメインにインタビューした経験を回想し、「『ハリー・ポッター』はなぜこんなにも支持されていると思いますか?と聞いたんです。エディは『それは、J・K・ローリングの書く物語の力。ハリー・ポッターに出てくるキャラクターたちは、みんなアウトサイダー。そういう人たちが成長していく物語だからこそ、世界中の誰もが共感し、自己を投影して好きになる』という話をしていた。たしかにそうだなと思ったんです」とコメント。「そういう物語をお届けして、楽しんでもらいたいと思っている」とアウトサイダーたちに寄り添うような、優しい物語を届けたいという。


『金の国 水の国』は1月27日より公開
『金の国 水の国』は1月27日より公開

またこの日は、観客からの質問にも回答した。ナランバヤル役に賀来賢人を抜てきした理由を聞かれると、谷生は「すばらしかったですよね」と惚れ惚れとし「アフレコで声を聴いて、震える感じがした」と告白。「ナランバヤル役は、抜けたところもあってかわいらしいんだけど、頭が切れる人。演技の幅を持った俳優さんでなければ、ダメだと思った。賀来さんは、コミカルからシリアスな演技までできる。だんだん、ナランバヤルが賀来さんに見えてきた(笑)。天才だなと思いました」と賛辞を送る。

一方、サーラ役の浜辺美波については、「サーラというキャラクターには、独特な雰囲気がある」と語った谷生。「強すぎてもいけないし、弱すぎてもいけないし、甘すぎてもよくないけれど、ある程度の甘さもほしい。そう考えた時に、浜辺さんが思い浮かんだ。浜辺さんの声の質感や、優しい雰囲気、芯の強さを感じさせる存在感が、サーラにハマると思った」とサーラの絶妙なバランスを体現できる人として浜辺を希望したといい、「アフレコ現場では、最初から声のトーンもピタッときた。サーラってこういう声だったんだと思った。2人の俳優さんのすばらしい演技に、非常に助けていただいた」と感謝しきりだった。

取材・文/成田おり枝

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