豊川悦司、熱烈ラブコールで相棒となった片岡愛之助に感謝「梅安と彦さんは似た者同士」
二部作連続公開される映画『仕掛人・藤枝梅安』(第一作は公開中、第二作は4月7日公開)の初日舞台挨拶が3日、新宿ピカデリーにて開催され、豊川悦司、片岡愛之助、菅野美穂、天海祐希、河毛俊作監督が登壇した。
池波正太郎生誕100年を記念し製作された本作について、河毛監督は「原作を読み返すと、一種の医療ドラマのように感じられます」とコメント。人を助けたいという大きな気持ちがある梅安だが、一方で世の中のためにならない人を殺めていると話し、「でも、殺すこと自体には抵抗を持っている人。医療従事者でありながら、同じ針を使って人も殺める。悪い奴をやっつけて『爽快だ!』ではなく、苦味のようなものを抱えている人」と解説。続けて「なんでも白黒はっきりつけなきゃすまない時代のなかで、人間のグレーなところ、矛盾を問いかけるのは面白いんじゃないか」と、本作をいまこの時代に届ける理由を伝えた。
梅安役の豊川と片岡演じる相棒、彦次郎が生みだす空気が作品の空気になっていることについて、豊川は「『彦次郎役、どなたかイメージしている方はいますか?』と制作陣に訊かれたので、僕がイメージするのは愛之助さんしかいませんと答えました。実現して本当にうれしいです」とニッコリ。豊川からのラブコールについて片岡は「“あの”豊川さんからお声がかかった」と笑顔を浮かべ、「(共演は)初めてでしたが、イメージ通りの方でした。隣にいるとホッとする、そんな方です」とうれしそうに語った。
「梅安にとって、彦次郎こそが帰るべき場所という大きな存在であるのでは?」という問いかけに豊川が「ボーイズラブではないけれど、どこか似た者同士の2人。同じ仕掛け人ではあるけれど、彦さんが持っている人間性に(梅安は)惹かれているんだと思います。2人でご飯を食べているシーンも、なにもない砂漠でポツンと座ってしゃべっているような感じがします。(2人が醸しだす)そんな感じが好きです」と答えると、片岡は「なにかあったら『泊まっていきなよ』って勧めるところとか好きです。そして今回は、お料理もすごくこだわっています。僕は湯豆腐推しです!」と撮影で食した料理のおすすめも明かした。
菅野と天海は約10年ぶりの共演となった。菅野は「この10年、生活が大きく変わって以前のように演技に時間をかけることができなくて」と現在、子育て真っ最中であることに触れ、「演技の道を邁進している天海さんを間近で見ることができて本当に勉強になりました。言葉以外の部分、たたずまいでもすごく勉強になりましたし、いろいろ話したいことはたくさんあったけれど、このご時世なのでマスクや除菌、滅菌の話が多かったです」とニコニコ。楽しい待ち時間からいざ撮影となると「ハッとすることの多い現場でした」と充実の表情を浮かべた。
天海は「菅ちゃんはとても優れている方なので、一緒のお仕事は楽しみだし、刺激をいただける方です。すごく謙虚な方なので、10年間(演技の)勉強ができずにっておっしゃっていたけれど、そのほかの人生経験がお芝居の栄養になっていると感じました。本当に楽しかったです」としみじみ。待ち時間はセットのなかの使っていない部屋で「2人でボソボソおしゃべりしたのもすごく楽しかったです」と10年ぶりの共演を笑顔で振り返った。
最後の挨拶で豊川は「最初のシーンからすーーーーっと(梅安の)世界に入っていけます。果たしてここは江戸なのか東京なのか、京都なのか京なのか、時代劇なのか時代劇じゃないのか。それらすべてを含めて梅安の世界観を楽しんでください」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ