有村架純、まもなく30歳。「ちひろさんのように、孤独を愛せる女性になれるよう」舞台挨拶で抱負語る
安田弘之の同名漫画を実写映画化した『ちひろさん』(2月23日よりNetflixにて全世界配信&劇場公開)の完成披露舞台挨拶が2月5日にスペースFS汐留で開催され、有村架純、豊嶋花、嶋田鉄太、van、今泉力哉監督が登壇。2月13日に30歳の誕生日を迎える有村が、「ちひろさんのように、孤独を愛せる女性になれるよう、30代も進んでいけたらいいなと思います」と演じた役柄への共感と共に30代の抱負を明かした。
元風俗嬢の主人公、ちひろ(有村)が、とある海辺の町の小さなお弁当屋さんで働きながら、心に傷や悩みを抱えてうまく生きることができない人々と交流していく姿を描く人間ドラマ。心のままに生きることの大切さや、孤独と向き合うことの尊さが浮き彫りとなる映画となり、有村は「私自身もちひろさんという役に出会えてすごくよかった」としみじみ。
オファーが舞い込み「原作を読んだ」という有村。「『ちひろさん』の世界観が大好きになった。読みながら、自分が演じるかもしれないと思うことも忘れて没頭した。ちひろさんという女性の沼にハマっていく感覚があった」と大いに魅了されたそうで、「これを自分が演じるとなるとハードルが高いなと思いながらも、今泉さんや制作の方たちがどうしてこの作品を届けたいかというところに、私もすごく共鳴した」と制作陣の熱意を感じたという。
さらに有村は「孤独をテーマにしている作品で、社会に対して生きづらいと思っている方や、女性として生きづらいと思っている方にぜひ届けたい作品だと感じた。その役目を担えるならば、すごく光栄だなと思ってお話を受けさせていただきました」とオファーを受けた真摯な想いを告白。ちひろさんは孤独を愛する女性でもあるが、有村は「孤独に対して決してネガティブに思っていない」と共鳴し、「一人の時間を愛せるってすごく幸せなこと。ちひろさんに出会って、孤独に対してポジティブに捉えられる方々が増えたらいいなと思います」と語っていた。
また豊島演じるオカジと、嶋田演じるマコトの掛け合いも本作の見どころとなる。有村は「(豊島は)オカジにしか見えなかった。マコトとの掛け合いもすごく自然。本番じゃないところの2人の関係性も、すごく仲よさそうにしていた」とにっこり。「花ちゃんは小さいころからお芝居をされているので、肝が据わっていてしっかりしている」と称えると、豊島は「いまの言葉がうれしすぎて大興奮している」と声を弾ませ、「もともと女優さんとしても憧れだったんですが、女性としても憧れの方になりました」と熱っぽく話す。場のムードメーカーとなっていたのが島田で、「すごく楽しかったです!」と撮影を回顧。演技初挑戦となったvanは、「有村さんが待ち時間も気さくに話しかけてくれた。初めての演技で、有村さんとご一緒できてうれしい」と役柄の関係性を作るうえでも有村との会話が助けになったと感謝すると、有村も「うれしい」と目尻を下げていた。
この日はサプライズで嶋田から有村に花束が贈られ、有村も「ありがとう!」と笑顔を見せた。まもなく30歳というひとつの節目を迎えることとなるが、「早く30代を迎えたいという気持ちがあったので、ようやくという気持ちと、振り返るとこの10年はあっという間だったなと。ものすごいスピードでいろいろな景色を見ることができた。とてもありがたい10年でした。戻ってこない20代に想いを馳せながら、30代を迎えたい」と吐露。「より質のよい作品を届けるために、柔軟な心を持って、皆さんとディスカッションしながら作品を届けられたらいいなと思っています」と述べつつ、「私もちひろさんのように、孤独を愛せる女性になれるように、30代も進んでいけたらいいなと思っています」と未来を見つめていた。
取材・文/成田おり枝