ファッション業界のブラックユーモアが炸裂!『逆転のトライアングル』本編映像が解禁

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ファッション業界のブラックユーモアが炸裂!『逆転のトライアングル』本編映像が解禁

第75回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞し、本年度アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞と主要3部門にノミネートされた『逆転のトライアングル』が、2月23日(木・祝)より全国公開される。このたび、ファッション業界のブラックユーモアが炸裂する本編映像が解禁された。

第70回カンヌ国際映画祭での『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(17)の最高賞パルムドール受賞に続き、本作『逆転のトライアングル』でカンヌ史上3人目となる2作品連続パルムドール受賞という快挙を達成したリューベン・オストルンド監督。驚くべき人間観察眼とセンス抜群のブラックユーモアが冴えるウェーデンだが、さらにいま、『パラサイト 半地下の家族』(19)に次ぐ、カンヌ映画祭とアカデミー賞の2冠制覇への期待も高まっている。

本作で、オストルンド監督が選んだ標的は、豪華客船に乗る超絶セレブリティだ。問題を痛烈にあぶり出す手腕は今作でも絶好調で、無人島に豪華客船が漂着したら…という物語を通し、ファッション業界とルッキズム、そして現代階級社会をテーマに、私たちの価値観を見事にひっくり返す世紀の大逆転エンタメ作品に仕上げている。主演は『キングスマン:ファースト・エージェント』(20)のハリス・ディキンソンと、残念ながら本作が遺作となってしまったモデル出身のチャールビ・ディーン。フィリピンのベテラン女優ドリー・デ・レオンや名優ウディ・ハレルソンらも参加し、弱肉強食のサバイバル劇を繰り広げる。

今回解禁となったのはディキンソン扮する主人公のカールがモデルオーディションに参加するという冒頭の本編シーン。高級ブランド「フォン・オーベン」のランウェイモデルオーディション会場で、インフルエンサーの突撃インタビューを受けるカール。インフルエンサーに「(これから受けるオーディションの)ショーのブランドは不愛想?ニッコリ?」と問われたカールは、なんのことか分からない。そこでインフルエンサーは彼に優しく「ニッコリは“お安い”ブランド。高級なブランドは顧客たちを見下さなきゃ。『フォン・オーベン』を着る人は大金を見せびらかす感じ」と説明し、カールは不愛想とニッコリの使い分けを学んでいく。日本版予告の冒頭にもオーディションシーンの一部が使用されているが、オストルンド監督お得意の強烈なブラックユーモアに観客の心も鷲掴みにしている。

今回オストルンド監督が映画でファッション業界を描こうと考えたきっかけは、ファッション・フォトグラファーであるパートナーの影響だという。「ファッション業界においては男性よりも女性が優位で、男性モデルの置かれている状況は、男性優位な社会において女性たちが強いられていることと変わらないと知りました。独特な世界でおもしろいと思ったんです。また以前から“ルックスの美しさが持つ経済的価値”に興味がありました。大抵の人間は生きていくうえでルックスと向き合わねばならないから。どんな見た目をしているかというのは、社会経験に影響すると思います。ファッション業界を舞台にすることで、ルックスについても描けると考えました」と、制作の成り立ちを明かしている。

また、俳優業で成功する前にモデルをしていた経験を持つディキンソンは、役作りについて「いまでもモデルをしている友人がいたり、この業界には少し縁があります。何人かファッション・フォトグラファーとも話をしました。ファッション業界にはいくつもの階層があるから、カールはどのレベルなのか、どういった立ち位置なのかを見極めることが大事でした」とコメントしている。なお、ここで登場する「フォン・オーベン」は架空のブランドであり、スウェーデン語で「上から」の意味。どこまでも皮肉と遊び心が詰まったオストルンド脚本の小さなこだわりも必見だ。


また、映像に登場するインフルエンサー役のトビアス・ソーウィドは、身長2メートルを誇るスウェーデンのプロチアリーダーで、チアリーダーとして活躍するかたわら、ラジオパーソナリティ、モデル、俳優と多彩な顔を持ち、明るいキャラクターで広く愛されている注目されているインフルエンサーだ。北米の映画公式インスタグラムでは、キャンペーンとして彼を起用した街頭インタビュー企画を実施しており、映画同様に「不愛想?それともニッコリ?」と道行く人々に愉快に絡んでいるので、ぜひそちらもチェックしてほしい。

文/山崎伸子

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