【第95回アカデミー賞】脚本賞は映画『エブエブ』ダニエルズが受賞「自分が脚本家、ストーリーテラーじゃないという劣等感がありました」
現地時間3月12日(日本時間3月13日)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第95回アカデミー賞授賞式。脚本賞は、第89回アカデミー賞の作品賞受賞作『ムーンライト』(16)などで知られる新進気鋭のスタジオ「A24」が放つミシェル・ヨー主演映画『エブエブ』こと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(公開中)が受賞した。
マルチバースに迷い込んだごく普通の主婦エヴリン(ミシェル・ヨー)が、救世主として覚醒し、カンフーを駆使して世界を救おうとする。脚本と監督を担当したのは、『スイス・アーミー・マン』(16)のダニエル・クワンとダニエル・シャイナートからなるコンビ“ダニエルズ”。製作には「アベンジャーズ」シリーズの“ルッソ兄弟”ことアンソニー&ジョー・ルッソが名を連ねている。奇想天外なストーリーテリングが話題を呼んだ本作は、A24製作の映画としては、史上No.1のメガヒット作となった。
シャイナートは「子どもころ、アカデミー賞を受賞したら、昔いじわるをされた先生に仕返しをしようと思っていました、というのは冗談で、先生たちから本当に良い教育を受けました」と心から感謝した。
クワンは「私は自分が脚本家、ストーリーテラーじゃないという劣等感がありました。だから今回の受賞は、本当に信じられないです。私をいつも守ってくれた母はいまもどこかにいます。私のためにいろいろ犠牲にしてくれてありがとう。妻もまた、私をいつも勇気づけてくれました。シャイナートも、私に自信を与えてくれました。本当に仲間の皆さん、ありがとうございます」と喜びをかみしめた。
すでに、アカデミー賞の前哨戦をはじめ、世界の映画賞で542ノミネート301受賞(3月8日時点)と、賞レースを席巻中の『エブエブ』。アカデミー賞では、脚本賞のほか、作品賞、監督賞(ダニエルズ)、主演女優賞(ミシェル・ヨー)、助演男優賞(キー・ホイ・クァン)、助演女優賞(ジェイミー・リー・カーティス、ステファニー・スー)、編集賞、衣装デザイン賞、作曲賞、主題歌賞の計10部門11ノミネートを果たした。現時点で、キー・ホイ・クァンが助演男優賞、ジェイミー・リー・カーティスが助演女優賞を受賞している。
取材・文/山崎伸子