【第95回アカデミー賞】ノーベル賞作家カズオ・イシグロ、惜しくも受賞逃す…黒澤明監督の名作をリメイクした『生きる LIVING』
現地時間3月12日(日本時間3月13日)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催中の第95回アカデミー賞授賞式。黒澤明監督の不朽の名作『生きる』(52)を、小説「日の名残り」などのノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイクした『生きる LIVING』(3月31日公開)が脚色賞にノミネートされていたが、惜しくも受賞を逃した。受賞は、ミリアム・テーブスの同名小説を原作に、隔絶された宗教コミュニティ内での性暴力を描いた『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(6月2日公開)。
『生きる LIVING』の舞台は1953年、第2次世界大戦後のロンドン。主人公は市役所の市民課に勤める堅物の公務員ウィリアムズ(ビル・ナイ)で、医者から癌で余命半年であると宣告されたことで、自分の人生を見つめ直し、ある行動に出ていく。主演は『ラブ・アクチュアリー』(03)や「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどで知られるイギリスの名優ビル・ナイで、第64回カンヌ国際映画祭のクィア・パルムを受賞した『Beauty』のオリヴァー・ハーマナス監督がメガホンをとった。
英国アカデミー映画賞(BAFTA)では、作品賞、主演俳優賞(ビル・ナイ)、脚色賞(カズオ・イシグロ)を含む4部門にノミネートされた本作。アカデミー賞では、脚色賞のカズオ・イシグロと、主演男優賞のビル・ナイがともに初ノミネートだった。
取材・文/山崎伸子
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