小野大輔「遺伝子レベルでヤマトに関わっていた」運命にゾクッ!

インタビュー

小野大輔「遺伝子レベルでヤマトに関わっていた」運命にゾクッ!

SFアニメの金字塔をリメイクした『宇宙戦艦ヤマト2199』の続編で、完全新作シリーズとして劇場上映する『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第二章「発進篇」』(6月24日劇場上映)。1978年に公開され、日本全土を熱狂させた『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』をモチーフに、真っ正面から“愛”を描く本作。いま、『宇宙戦艦ヤマト』が世に放たれる意味とは?声優・小野大輔を直撃した。

舞台は、イスカンダルへの大航海から宇宙戦艦ヤマトが帰還した3年後。宇宙の平穏を願う女神テレサの祈りに導かれ、ヤマトが再び発進する。主人公・古代進を演じる小野は「ヤマトが発進するシーンは、作品の象徴。地球が希望ある未来に進んでいくことの象徴でもあります。僕自身、ヤマトの発進シーンにはすごく気持ちが上がりました」と雄々しく旅立つヤマトの発進シーンに興奮を隠しきれない。「旧作からのファンの方も、新しい世代のファンの方も、理屈抜きに盛り上がると思います。発進シーンからは、とてもポジティブなパワーを感じます」。

旧作ファンだけでなく、新たなファンも獲得している本シリーズ。小野自身「旧作をちゃんと見たことがなかった」と話すが、「最近の話なんですが、実家に帰った時に『ヤマト』の映画のフィルムが本棚の片隅にあるのを見つけたんです。どうやら祖父が好きだったようで。それを見つけた時には、ゾクッとしました。やはり、日本のアニメ史にずっと残る作品で、しかもうちの祖父世代まで見ていたんだということに改めて気づいて。僕は遺伝子レベルでヤマトに関わっていたんです」とその歴史と偉大さを身にしみて感じる出来事があったそう。

今作で描かれるテーマはズバリ、“愛”。「監督の福井晴敏さんも、『いま、このご時世に愛を描く意味とはなんだろう』というお話をされていました。その時にお話されていたのは、『救いのない愛は描かない』ということ。もう一つは、『試される愛が描かれて、たくさんの試練が降りかかります』ということ。その二つを、僕は福井さんからのメッセージとして受け取っています」。

不朽の名作をただリメイクするのではなく、いま描かれるべき『宇宙戦艦ヤマト』を目指した。「世の中にはまだ戦争もあるし、国同士の緊張状態もある。そんななかで愛を描くというのはとても意義があることだと思います」と力強く語る小野。「いまの社会の閉塞感や、それを打開するものなど、しっかりと時代と照らし合わせられるように作っていらっしゃる。やはり、昔のものをそのまま描いても、共感を得られるものにはならないと思うんです」。

「古代は中間管理職。上役も部下もいて、会社全体の組織に悩んだりもする。古代の中間管理職としての葛藤は、見ている人も同じ思いがするかもしれない」というように、現代を生きる人にとっても共感ポイントにあふれた本シリーズ。「演者としてヤマトで旅をしてみると、掛け値なしに『ヤマトは面白い』と実感しています。シリアスに愛や戦争を描くだけでなく、キャラクター同士の会話劇や若者同士の恋愛も描かれているので、しっかりとエンタテインメントになっている。日本のアニメの中でも、極上のエンタテインメントだと思います」と胸を張る。

第七章のシリーズとして描かれるが、小野は「実は僕も、この先がどうなるか知らないんです」と告白。「福井監督は、キャラクターとして知っておかなければいけない人にしか、先の展開を教えてくれない。僕は古代と同じように、何が起こるのかと戦々恐々としています(笑)。古代として責任を感じながらも、この艦に乗っていることがとても楽しいです」と充実感たっぷりに話していた。【取材・文/成田おり枝】

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