横浜流星、藤井道人監督作『ヴィレッジ』で魅せた鳥肌モノの新境地!衝撃の新場面写真が解禁
第43回日本アカデミー賞優秀監督賞受賞作『新聞記者』(19)や、『余命10年』(22)の藤井道人監督が自身のオリジナル脚本を映画化し、『新聞記者』、『ヤクザと家族 The Family』(21)、『空白』(21)などの話題作を手掛けてきたスターサンズの故、河村光庸プロデューサーによる遺作となった『ヴィレッジ』が4月21日(金)より公開される。このたび主演の横浜流星がの姿を捉えた新場面写真が解禁となった。
『ヴィレッジ』は、現代社会の闇を「村」に投影した異色作。これまでに多くの話題作を手がけてきた藤井監督と、日本映画の変革者として、絶えず問題作を世に贈り出してきた河村プロデューサーの遺志を受け継いだスタジオ、スターサンズの制作チームが結集した本作は、エンターテインメントと日本社会をえぐるリアルが融合した人間ドラマとなった。
『アキラとあきら』(22)、『線は、僕を描く』(22)など話題作に立て続けに出演し、先日行われた第46回日本アカデミー賞では『流浪の月』(22)で優秀助演男優賞に輝いたほか、同作で第47回報知映画賞助演男優賞も獲得した横浜。そんな横浜が、俳優人生の次なるフェーズとして選んだのが、『ヴィレッジ』の主人公、片山優という役柄だ。駆けだしのころからの戦友である藤井道人監督のもと、横浜はこれまでの俳優人生を捧げ、持てる力のすべてを覚醒させた鳥肌モノの演技を披露している。
同調圧力、格差社会、貧困、そして道を誤ったら這い上がることが困難な社会構造を持つ閉ざされた「村」という世界で、横浜が演じる優は、現代日本が抱える闇に飲まれながらも、自身の運命に抗い、負のスパイラルから脱けだそうとしていく。必死にもがく優の姿は、これまであった横浜のイメージを刷新して“闇落ち”と表現され、観た人に恐怖すら抱かせるほどの異様な雰囲気をまとっている。しかし、物語が進むにつれ、絶望のなかでたった一つの希望を見出していく優は、横浜が演じることで同一人物が演じているとは思えないほどの変化をとげていく。それは決して、メイクやヘアスタイル、衣装を変えることで起きる外見の変化だけではなく、仕草、佇まい、話し方といった人の魂とも言えるなにかが変化しているように思える。
今回解禁された新たな場面写真でも、人をにらみ殺しそうなほどの鋭い目つきで、一ノ瀬ワタル演じる村長の息子、透を凝視する優の姿や、ボサボサの髪に汚れた作業着を着てごみ処理業務を行ううつろな表情、さらに、吸い殻の山が積まれた灰皿と、ゴミがあふれる汚れた部屋でスマホを見つめる極限状態の姿などが解禁。その一方で、髪を切り、ヒゲを剃ってネクタイを締め、スーツ姿で歩く、まるで別人のような姿の場面写真も到着した。後ろには、黒木華演じる幼馴染の美咲や、かつて優も着ていた作業着を着用した職員の姿も映されており、優を取り巻く環境が以前とは明らかに違うことが伺える。険しい表情ながらも前を向いて力強く歩を進める姿は、“闇落ち”の雰囲気とは程遠く、なにかを決意したかのような、どこか自信に満ちた雰囲気すら漂っている。
横浜は「監督と出会って7年。お互いに切磋琢磨して、少しずつ力をつけて、このタイミングで今回主演を務めさせていただき、すばらしいキャスト、スタッフの皆様と作品作りができ、得るものがたくさんあり、宝物のような時間を過ごせました」と撮影を振り返る。藤井監督も「優という人物には流星自身が俳優として感じている迷いや怖れも反映されています。僕と流星がたくさん時間をかけて話し合った結果、優が生まれたと思います」と語っており、2人でなければ生みだすことができなかった渾身の一作となったようだ。
これまでにも、数々の作品で新境地と言える新しい魅力を披露してきた横浜だが、藤井監督に「いままで見たことがない横浜流星でないと意味がない。そんななか、彼のラストシーンを撮っていた時は、ちょっと泣きそうになりましたね。まさに一皮剥むけた流星が見られる映画になっていると思います」とまで言わしめた。ぜひ横浜流星の新たな一面を、大スクリーンで確かめてほしい。
文/山崎伸子