土屋太鳳「できる限り努力したい」。ストイックな素顔に片寄涼太も「本当にすごい」
人気コミックを映画化したラブストーリー『兄に愛されすぎて困ってます』(6月30日公開)で共演を果たした土屋太鳳と片寄涼太。土屋にとって、イケメンたちに愛されまくる女子高生・せとか役は「今までで一番難しかった役と言っても過言ではない」というほどの難役だった。一方、GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカルとしてステージに立つ片寄にとっては、約2年ぶりとなる役者業。新たなチャレンジに立ち向かった二人に、“困難を乗り越える方法”を聞いた。
ピュアな女子高生・せとか(土屋)に訪れた突然のモテ期を描く本作。せとかの兄・はるか(片寄)は、実は血のつながっていない妹への想いが、ただの“妹愛”だけではないことに気づき、戸惑い始める。
土屋は「原作のせとかちゃんがかわいすぎるので、自分が演じることで失礼になってしまうんじゃないかと思った」とオファーに困惑したそう。「一見するとコメディタッチなんですが、せとかには複雑な家庭の事情があったりもする。コメディのなかで、せとかの心をどう表現したらいいのか、とても悩みました」と吐露するが、そんななかイメージしたのが「かぐや姫」なのだとか。
土屋は「人から愛されているように見えるけれど、何か自分のなかで足りないものを感じている。その足りない何かがわからなくてもがいている様子が、かぐや姫と重なって。かぐや姫を意識して演じていました」と綿密に分析して、せとか役に挑んだ。
片寄は「なんで僕なんだろうって。僕でいいんですか?という気持ちでした」と役者業へのオファーに驚きを隠せない。「せっかくいただいた機会なので、すごくうれしくて。自分のベストを尽くそうという気持ちで臨みました」と真摯な眼差しを見せ、「映画を通して、自分も知らないような表情が見れました。映画で学んだことをアーティスト業にも活かせていけたらいいですね」と大いに刺激となった様子だ。
尻込みするような新境地にも果敢に立ち向かった二人だが、片寄は「昔はすごい心配性だったんですよ。初めての経験とか、すごく苦手で。小さいときは泣いたりしてましたね」と怖がりだった少年時代を告白。この世界に入ることになったオーディションも「めちゃくちゃ緊張した」と述懐するが、今では「失敗してもいい。やってみようと思うようになった」と話す。
「この世界に入ってから、心配していても『その時は来る。やらなければいけない時は来る』ということをすごく感じたんです。なので今は、『失敗してもいい』という気持ちでぶつかっていきます。やってみることにこそ意味があるし、うまくいかないことがあるからこそ、次はどうしたらいいんだと考えられる」と片寄。様々な経験を通して、強い気持ちを培ってきた。
土屋も「そうだよなぁ…。やらなければいけない時は、必ず来るんですよね」と片寄の話に大きくうなずく。「緊張したり、どうしようと思っても、その時は来てしまう。だからこそ、できる限りの努力をしたいと思います」と続けると、片寄は「土屋さんは、しっかりと準備をするタイプ。撮影を通して、本当にすごいなと思いました」と土屋の努力型の一面に惚れ惚れ。
その言葉通り、土屋といえばとことんストイックに物事に打ち込むイメージがあるが、当の土屋は「準備しないと不安なんです」とはにかみながら、「私、ひとつの作品ごとに、一度は記憶がなくなる現象があるんです」と、片寄も「ええ!?」と驚く一言。「『映画 鈴木先生』では屋上でセリフを話すシーン。今回は『答えてよ、お兄』と言うシーンです。たぶん必死になりすぎて、あまり記憶がないんです。終わった後に『いまどうなったんだろう?』と思う時があって。片寄さんの言ったように、失敗してもやるしかない。いつも『伝われ!』という気持ちを込めて、演じています」とどこまでも真っ直ぐな思いを打ち明けていた。【取材・文/成田おり枝】