生田斗真主演『渇水』は幼い姉妹を演じた子役にも注目!白石和彌が認めた新たな才能とは
1990年に第70回文學界新人賞を受賞し芥川賞候補にもなった河林満の同名小説を、生田斗真主演、「孤狼の血」シリーズを手掛けた白石和彌プロデュースで映画化した『渇水』(6月2日公開)。このたび本作から、物語を大きく動かす幼い姉妹を演じた子役、山崎七海と柚穂の姿を切り取った場面写真を独占入手した。
生田演じる水道局員の岩切俊作が、心の渇きにもがきながらも“生の希望”を取り戻していく様を描いた本作。日照り続きの夏。来る日も来る日も水道料金を滞納する家庭を訪ね、水道を停めて回っていた岩切。県内全域で給水制限が発令されるなか、岩切は2人きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した父と、帰らなくなった母親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は、規則に従い停水を執り行う。
共にオーディションで選ばれた姉妹役の二人。姉の恵子役を演じた山崎は現在14歳。Official髭男dismの「I LOVE...」や「Universe」のMVに出演したほか、映画初出演作『なぎさ』(5月12日公開)が第34回東京国際映画祭で上映されるなど注目を集めた彼女は、「大人たちを射るような目力」が決め手となり役に抜擢。また妹の久美子役を演じた柚穂は現在9歳。CMなどを中心に活動し、『鳩の撃退法』(21)にも出演した彼女は「無邪気で一生懸命なところ」が決め手になったという。
オーディションで高橋正哉監督から劇中の演出のために「ダンスを踊ってほしい」との提案が出され、たまたま山崎と柚穂の二人がペアになったという。その時のことを白石プロデューサーは「山崎さんと柚穂さんに組んで踊ってもらったら胸にグッとくるものがあり、この2人で行こうということになりました」と振り返っている。
また撮影の際には母親がいなくなるシーン以後の脚本を2人には渡さず、高橋監督が現場でその都度次に撮るシーンを説明する方法で進めていったとか。さらに生田と磯村勇斗には、役柄同士の距離感を保つために「あまり仲良くならないよう」指令が下されたという。その甲斐もあり、どんどん大人への不信感を募らせていく恵子が鋭い目つきで岩切に詰め寄るシーンは、本作の見どころの一つに。
是非とも将来性抜群な2人の子役の演技に注目しながら、観る者を“生への希望”で照らす珠玉のヒューマンドラマを味わってほしい。
文/久保田 和馬
※高橋正弥の「高」は「はしご高」が正式表記
※山崎七海の「崎」は「立つ崎」が正式表記