危険な世界でこそ輝く『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』、観る者を覚醒させる『山女』など週末観るならこの3本!

コラム

危険な世界でこそ輝く『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』、観る者を覚醒させる『山女』など週末観るならこの3本!

週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!
週末に観てほしい映像作品3本を、MOVIE WALKER PRESSに携わる映画ライター陣が(独断と偏見で)紹介します!

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、世界中のお宝を求めて冒険を繰り広げる「インディ・ジョーンズ」シリーズ第5弾、閉鎖的な村に生まれた一人の少女の逞しい生き様を描いたヒューマンドラマ、内田英治と片山慎三がタッグを組み贈る奇想天外な探偵ドラマの、バラエティに富んだ3本。

最後の冒険を頼もしい存在感とともに体現…『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(公開中)

【写真を見る】教授を引退してもなお危険と隣り合わせなインディ(『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』)
【写真を見る】教授を引退してもなお危険と隣り合わせなインディ(『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』)[c]2023 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

15年の時を経て、映画史上もっとも人気のある冒険家インディ・ジョーンズが復活!演じるのはもちろんハリソン・フォード。インディの最後の冒険を頼もしい存在感とともに体現する。第二次大戦時にはナチスと戦ったインディも1969年には年老いて、大学教授の職を引退。そんな彼がナチス残党による秘宝強奪の陰謀に立ち向かう。

世はすでに冒険の時代ではないが、インディが輝くのはやはり危険と隣りあわせの世界だ。海洋や洞窟、空中、もちろん街でも危機が連続。スピルバーグに代わって監督を務めたジェームズ・マンゴールドはシリーズの活劇スピリットを踏まえて、アップテンポでアクションを描き切る。奇抜なクライマックスまで目が離せない!(映画ライター・有馬楽)

家族を守るため“盗っ人“の汚名を自ら着た娘の運命…『山女』(公開中)

閉ざされた村で理不尽に襲われる少女の姿を描いた『山女』
閉ざされた村で理不尽に襲われる少女の姿を描いた『山女』[c]YAMAONNA FILM COMMITTEE

“ちょっと怖い日本昔話“のような世界観に、思わず魅入る――。18世紀後半の東北、山のふもとの寒村で、家族を守るため“盗っ人“の汚名を自ら着た娘の運命は――。いかに一家が村八分にされてきたかを描く前半、村に居られなくなった娘が禁じられた山へ入っていく中盤、十二分に理不尽な運命を背負った娘に、さらに人的被害な不幸が襲う後半へ。終始、頭がパンクしそうになり地団駄を踏みまくり!とはいえ数十年、いや数年前、いやいや実はいまも似たような不幸を弱い立場の者に背負わせる“村社会の因習“は人の心に残っているに違いない。貧しいからとはいえ“生と死“の扱い、軽重も改めて衝撃的だ。

娘を演じるのは、いまや話題作には必ず居合わせる山田杏奈。単なる“犠牲者“ではなく、名の通り“凛“と自らの道を進んでいく様、屈せず生き抜こうとする逞しさと強さと美しさを、表情のみならず肉体から放ち目を奪う。監督は『アイヌモシリ』(20)の福永壮志。人知の及ばない“力や導き“がこの世に存在することを目撃させ、観る者を覚醒させる。自然を写す映像も、濃く、深い。共演に森山未來、永瀬正敏、三浦透子ら個性的な実力派俳優が見応えを増量する。(映画ライター・折田千鶴子)


異色の探偵エンタテインメント…『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(公開中)

歌舞伎町を舞台にした6つのエピソードで綴られる『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』
歌舞伎町を舞台にした6つのエピソードで綴られる『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』[c]2023「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会

『ミッドナイトスワン』(20)の内田英治監督と『さがす』(22)の片山慎三監督が、新宿歌舞伎町を舞台にしたそれぞれ3つのエピソードを演出し、1本の映画にまとめた異色の探偵エンタテインメント。新宿のゴールデン街の小さなバー「カールモール」のママであるマリコ。探偵というもうひとつの顔を持つ彼女のもとに、ある日、FBIから「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探してくれ!」という謎の依頼が舞い込んできて…。

『ちょっと思い出しただけ』(22)などの伊藤沙莉がタイトルロールの探偵マリコに扮した本作は、2人の異才が内容を擦り合わせることなく、それぞれにやりたいことをやりまくっていて、いい意味でハチャメチャ!謎の宇宙人騒動を縦軸に、乃木坂46の久保史緒里がホスト狂いのキャバ嬢をせつなく演じ、北村有起哉が別れた娘を探すおちぶれたヤクザを怪演。さらに、マリコの恋人の自称忍者、MASAYAに扮した竹野内豊が手裏剣投げの練習を黙々とし、そこにシリアルキラーや殺人マシーンとして育てられた姉妹の物語まで絡む本作でしか見られないエピソードがノンストップで連続するから、驚きと興奮が止まらない。エピソードごとに色合いがまったく異なり、アメリカのB級カルトムービーへのオマージュも込められているから、2人の監督がどのエピソードを演出したのか想像しながら観て、後から答え合わせをするのも面白いかも。いずれにしろ、本作は大いなるプロローグ。観終わった後に、早くも「続編」、「シリーズ化」を熱望しているのは間違いないだろう。(映画ライター・イソガイマサト)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼

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