バズ・ラーマン監督が「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」囲み取材にサプライズ登場!「いままで観た『ムーラン・ルージュ』のなかで一番感動」
6月26日よりプレビューオープン、29日より開幕する「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」の囲み取材&フォトセッションが24日、帝国劇場にて開催され、Wキャストでサティーン役を務める望海風斗、平原綾香、クリスチャン役の井上芳雄、甲斐翔真、ハロルド・ジドラー役の橋本さとし、松村雄基、デューク(モンロス公爵)役の伊礼彼方、Kが本番前の意気込みを語った。
バズ・ラーマン監督の『ムーラン・ルージュ!』(01)をミュージカル化した本作は、2019年7月にブロードウェイで初演され、トニー賞で13部門14ノミネートを獲得、ミュージカル作品賞など10部門を受賞の快挙を達成。今回上演される日本版では、映画版でニコール・キッドマンが演じたサティーン役を元宝塚歌劇団雪組トップスターの望海と近年はミュージカル女優として活躍する平原が、ユアン・マクレガーが演じたクリスチャン役をミュージカル界のプリンス、井上と2022年秋に帝国劇場で上演された「エリザベート」でルドルフ役を演じた甲斐が務め、ムーラン・ルージュの花形スターとアメリカ人作家との情熱的で悲しい愛の物語を描く。
取材は舞台セットの全貌が見渡せる2階席で行われた。初日を迎える気持ちについて「稽古序盤から素晴らしい世界観に皆さんを早くお連れしたいという気持ちがありました」と振り返った望海は、観客の反応や空気によって舞台の雰囲気が変わるとし「プレビューでいろいろと楽しみながら作り上げていきたいです」と本公演直前までチャレンジ精神いっぱいといった様子で意気込みを語った。
本作で一番感動したのは「人を愛すること、そしてその気持ちを相手に伝えることがどれだけ素晴らしいことなのかということ」と熱弁した平原は「皆さんの心に残る、泣けて、笑えて、悲しくもなるけれど、ハッピーにもなれるミュージカルをお届けしたいです」とキリッとした表情で語った。ゲネプロで泣いたという甲斐は「これが日本の観客の皆さんに届く、届けられる場所ができたということが自分のなかでは鳥肌ものでした」としみじみ。甲斐と共にクリスチャン役を演じる井上が「僕のWキャストの歴史では一番仲が良いです」と発言すると「言っちゃっていいの?」とすかさず他のキャストが声を揃えてツッコミを入れる場面も。声の揃ったツッコミにニヤニヤの井上は「とてもいいカンパニーだと思います」と取材陣に伝えていた。
ジドラー役の橋本と松村について井上は「性格が真逆」と指摘。毎回演じ方が違うと指摘された橋本は、(自身の演技プランで)どんな演技になった場合にでも「なんとしても止めないぞという気合いでやっています」とニヤリ。台本通りきっちりタイプという松村は橋本について、華やかでおおらかでユーモアもありチャーミング。そのまま演じるだけでジドラーになれると説明し「台本にとらわれない自由さを(ジドラー役の参考にして)見習っています」と明かすとキャストは大爆笑。また、伊礼はKについて「そもそもお芝居が2回目。立ち方やしゃべり方などをお伝えしています」と仲良くWキャストとして稽古をしていることし、「耳がいいし、感性がいいから、先に演じた僕のデュークを見て、その通りに演じちゃうんです」とKの吸収力に触れる。するとKは「なにを見て練習すればいいのか分からないから、見て覚えています。今日もプレビューでしっかり盗もうと思います」と企むような表情でメモをする仕草を見せ、取材陣を笑わせた。
先日行われた「チャーリーとチョコレート工場」の製作発表で堂本光一が、本作にお金がかかり過ぎて、自分たちの舞台に予算が回ってこないことを心配していたと明かされると井上が「光一くんが初めて翻訳もののミュージカルをやるので、十分予算はあるはずです」と答え、「とはいえ、僕も20年以上帝劇に出ていますが、この気合の入り方は見たことありません。なにがあったんだろうというくらい(笑)、総力を結集している感があり、規模の違いを実感しています」とコメント。続けて「チケット代が高いと話題になっていますが、かかって当然と思えるくらい、むしろそれでも賄えるのか心配になるほどお金がかかっています」とアピール。伊礼が「90秒しか着ないサティーンの衣装に一番お金がかかっています」と補足し、キャストが感じた本作の豪華さを報告していた。
取材終盤には、来日中のバズ・ラーマン監督がサプライズ登場。ゲネプロでは「言葉が分からなくても、めちゃくちゃ感動しました。最後の悲劇的な場面は、いままで観た『ムーラン・ルージュ』のなかで一番感動しました」と大絶賛。プレビュー初日は、もう一組のキャストで観れることを楽しみにしているとし、衣装姿のキャストを見つめ、「いまはこんなラフな格好だけど、今夜は特別なスーツを着てきます!」とプレビュー公演を楽しみだと話していた。
日本版の言語が日本語であることについて「真実が語られていると、何語なのかは忘れてしまいます。僕が書いている本なので内容は知っているし、分からないことはありません。不思議なことに、日本語でもいつのまにか英語を聞いているような感覚になります。それは真実があるからです」とブロードウェイ、イギリスのウエストエンドやオーストラリアなどでも、本作が世界中の多くの観客を魅了してきた理由を解説していた。
取材・文/タナカシノブ