「金曜ロードショーとジブリ展」の魅力を鈴木敏夫プロデューサーが語る「今回は参加型。エンタテイメントに徹している」
日本テレビ系の映画番組「金曜ロードショー」の歩みを辿りながら、スタジオジブリ作品の魅力を紹介する展覧会「金曜ロードショーとジブリ展」が6月29日から東京・天王洲の寺田倉庫B&CHALL/EHALLで開催中だ。開催前日の6月28日に、会場にて開会セレモニーが行われ、スタジオジブリの鈴木敏夫代表取締役プロデューサー、日本テレビ放送網の杉山美邦代表取締役会長執行役員、KDDIの竹澤浩執行役員常務が登壇。セレモニーとともに、ジブリファン必見の盛りだくさんな内容となった本展の魅力も紹介していく。
タイトルの発案者でもある鈴木プロデューサーは、今回の展覧会について「みなさんがジブリを忘れないでいてくれるのは『金曜ロードショー』の存在がものすごく大きいんです」と語ったうえで「これまでの展覧会はどちらかといえば美術展だったけど、今回は日本テレビらしく参加型。エンタテイメントに徹している。そこが楽しい」とその魅力を紹介した。
また、日本テレビの杉山会長は「ジブリ作品は何度も観たくなる。人生のそれぞれの状況で見え方が変わってくる」と長年にわたって金曜ロードショーの放送が支持されている理由を語った。
“金ローとジブリ“のヒストリーをたどる圧巻のデータベース
ここからは「金曜ロードショーとジブリ展」の見どころを紹介していく。これまで200回以上にわたってスタジオジブリ作品を放送してきた「金曜ロードショー」の歴史はスタジオジブリが人気を確立し、作品の評価を不動のものとしていく足跡とともにあり、現在も続いている。
番組の放送が始まった1985年は、スタジオジブリが“スタジオ開き”をした年であり、日本テレビが特別番組で『風の谷のナウシカ』(84)を初放送した年でもある。そんな1985年を起点に、スタジオジブリ作品の公開年、そして「金曜ロードショー」で初放送された年がどんな時代だったのかを振り返りながら、各時代の記憶と記録を通じて映画の魅力に迫る。なかには貴重なアーカイブ映像も特別公開されているのでチェックして。
ほぼ全作品の絵コンテを展示!ジブリ作品の“設計図”に迫る
『風の谷のナウシカ』から『アーヤと魔女』(21)まで、スタジオジブリのほぼ全作品の絵コンテを展示している。絵コンテとは映画の設計図であり、シーンの流れをコマ割りしたもので、場面の構成や台詞などで、演出イメージをつかむものだ。作品の生まれる過程を間近で見られる貴重な機会となる。
作品の主人公になった気分!ジブリ映画ポスタースタジオ
スタジオジブリ作品のポスターの中に飛び込んで、主人公のように撮影できる、新しいフォト空間。まるで架空のスタジオに迷い込んだような場所で、作品の主人公の気分を楽しめる。(『崖の上のポニョ』は7/2(日)までの予定)
美しいジブリの幻燈楼が東京に初登場
2018~19年に開催された展覧会「ジブリの大博覧会」富山展のために作られた巨大な「ジブリの幻燈楼」が東京に初登場する。「幻燈」とは、フィルムや造形物などに強い光を当てて、レンズで幕などに拡大映像を投影して見せることができる装置。ガラスの町、富山の富山ガス造形研究所、富山ガラス工房、地元作家らが制作を担当し、スタジオジブリが監修したものだ。キャラクターをモチーフとしたガラスに光を照射することで、映画の世界観を音と光に包まれながら体感できる。
また、アプリ「SATCH X」をダウンロード(無料)して、王蟲の展示場所にあるARマーカーを読み込むと、迫力ある大迫力な王蟲たちがARで出現するというAR体験もできる!
風の谷のナウシカ 王蟲の世界が再現
「金曜ロードショー」とスタジオジブリのヒストリーにおける原点である『風の谷のナウシカ』。本展では稀代の造形作家として世界に多くのファンを持つ竹谷隆之らが作成した造形物をもとに、映画に登場する“腐海”の空間を表現。圧巻のクオリティーで作られた王蟲、大王ヤンマ、ムシゴヤシなどが待つ空間は、来場者を魅了すること間違いなし!
なお、「金曜ロードショー」では宮崎駿監督の新作『君たちはどう生きるか』の公開(7月14日)を記念し、3週連続でスタジオジブリ作品を放送する。7月7日(金)に『風の谷のナウシカ』、7月14日(金)に『コクリコ坂から』、7月21日(金)『もののけ姫』というラインナップだ。いずれも夜9時からの放送となり、“フライデーおじさん”のオープニングも復活するので、そちらもお楽しみに。
文/山崎伸子