ユニークなのに魅力的!デザイナーが明かした『マイ・エレメント』の“もしもの世界”の秘密
火、水、土、風のエレメントたちが暮らす世界を描くディズニー&ピクサー最新作『マイ・エレメント』(8月4日公開)。プロダクション・デザイナーを務めたドン・シャンクは、4つのエレメントたちが暮らすカラフルでユニークな「エレメント・シティ」について「それぞれのエレメントに合わせて、観客にとって見覚えのある物を使っていくようにしました」と制作秘話を明かした。
主人公の火の女の子エンバー(声:川口春奈)と水の青年ウェイド(声:玉森裕太)が出会う美しい街、エレメント・シティ。この街では4つのエレメントが、それぞれの特性に合ったユニークな生活様式で暮らしている。その様子はまるで人間のようで、元素が暮らすファンタジーな街並みであるにも関わらず、初見でも誰もが親しみやすい世界観に仕上がっている。
エレメント・シティの魅力ある街並みについて、これまで『ファインディング・ドリー』(16)などの制作にも携わってきたシャンクは、“それぞれのエレメントにちなんだ物”や“エレメントを想起させる物”で構成されていると語る。
具体的には「“火”の街であれば、暖炉やティーポット、ランプ、コンロなど火と関係のあるものを組み合わせて、アパートやお店などの建物に使っています。“水”も同じで、高い建物はダムからインスピレーションを得ていて、横から水が流れています。時には、小さな物からインスピレーションをもらったこともあります。例えばガリレオ温度計を見た時、中に浮かんでいる小さな泡を、アパートの部屋にするのはどうかと思ったのです。“水”の地区は洗練されていて、エレガントでスタイリッシュなもの、遊び心のあるものがたくさんあります」と、その特性を様々な方法で表現していると言う。
土や風の街についても「“土”に関しては、農場などからインスピレーションを受けて建物を描きましたし、“風”のエレメントたちは、扇風機とおしゃれな風向計がついた凧の建物に住んでいます」と解説。ピクサーの精鋭クリエイターたちはこのように、それぞれのエレメントの特性を描く際に、観客にとって見覚えのあるものを取り入れることで、観る者すべてを夢中にさせつつ、親近感が湧くような街を作り上げたのだ。
予告編でもエレメント・シティでの色鮮やかでユニークな暮らしの様子が垣間見え、そこには観客たちの心を躍らせるような街並みが広がっている。しかし、そんなエレメント・シティのたった一つのルールは“ほかのエレメントとは関わらない”こと。特性も性格も正反対で、本来なら関われないエンバーとウェイドは、この街でどんな化学反応を起こすのか注目だ。
鑑賞の際には、ぜひ作り込まれたエレメントの世界の細部にも注目し、それぞれのエレメントに対しどんな物がモチーフとして登場するのかを探してみてはいかがだろうか。
文/山崎伸子