「日本ホラー映画大賞」受賞監督が清水崇監督に宣言!「僕らでJホラーのニューウェーブを起こしていけたら」

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「日本ホラー映画大賞」受賞監督が清水崇監督に宣言!「僕らでJホラーのニューウェーブを起こしていけたら」

長編化を見据えて作られた『私にふれたもの』に、清水崇監督も興味津々

「豆魚雷賞」を受賞した藤岡晋介&武田真悟監督の『私にふれたもの』
「豆魚雷賞」を受賞した藤岡晋介&武田真悟監督の『私にふれたもの』

一方で藤岡監督は、三重野監督の制作準備の話を受けて「『私にふれたもの』は絵コンテを描いておらず、共同監督の武田真悟監督とどう割っていくかを決めて、あとは現場でカメラマンさんと調整して行きました。アクションや段取りが必要なところではカットを割ってそれぞれの部署の方に伝えていましたが、現場に入ってからカットを増やすこともありました」と対照的な制作過程を明かす。

そして作品制作のきっかけについて「コロナ禍が始まった頃にリモート映画祭という企画に参加して武田監督と一緒に一本映画を作りました。その時にコロナで人同士が会えなかったり触れなくなったりしたことで恐怖もシフトしていくのだろうと話をして、そこから“触れる”ことを恐怖に取り入れられないかという話になりました」と振り返る。そのうえでまず長編のストーリーを考え、「日本ホラー映画大賞で大賞を撮れれば長編が撮れる。そのためのパイロットムービーとして作りました」と説明。

『私にふれたもの』の藤岡晋介監督は「新しいホラーを模索していかなきゃ」と意気込んだ
『私にふれたもの』の藤岡晋介監督は「新しいホラーを模索していかなきゃ」と意気込んだ

すると清水監督は「ということはすでに長編の脚本があるってことですよね?それを聞くと長編も見たくなりますねえ」と興味津々。「僕は藤岡監督みたいに長編の構想があったわけではなくて、短いのがいっぱいあった。映画美学校の課題で作った3分の短編をプロデューサーの方が見て、だんだんと大きくなっていきました。商業でやらせてもらえることなんてこれが最後かもという焦りもあったので、全部くっつけてやりたい、でもただのオムニバスじゃつまらないと思っていた時に『デカローグ』と出会い『呪怨』が生まれました」と、代表作誕生の経緯を語った。


ホラー映画界の新たな才能たちの今後に注目!

“撮りたいカット”から作品が生まれたことを明かした三重野広帆監督
“撮りたいカット”から作品が生まれたことを明かした三重野広帆監督

舞台挨拶終盤のトークテーマとしてあがったのは、「今後のホラー映画界はどうなっていくか?どうしていきたいか?」。三重野監督は「この日本ホラー映画大賞を通じて藤岡監督と知り合えましたし、大賞を獲った下津優太監督や近藤亮太監督とも仲良しになり、近藤監督とはお互いの作品で協力し合えるようになりました」と、横のつながりが生まれたことを告白すると、清水監督の方を向き「Jホラーがめちゃくちゃ盛り上がってた時代を、僕ら受賞者たちで再びニューウェーブとして起こしていけたらと思っています」と堂々と宣言。

さらに藤岡監督も「ホラーのヌーヴェルヴァーグ」と形容しながら「いまは映画だけじゃなく色々な媒体があって、YouTubeなどでもホラーのチャンネルがすごく盛り上がっている。そういう新しいメディアや表現をしている人たちと、スクリーンで映画を観ることを上手く掛け合わせたような新しいホラーのかたちを模索していかなきゃいけないと思います」と力強く語る。

第1回、第2回ともに選考委員長を務めた清水崇監督
第1回、第2回ともに選考委員長を務めた清水崇監督

若い監督たちの向上心に触れた清水監督は「藤岡監督の『私にふれたもの』は怖そうなタイトルに負けない内容でクオリティも高く、直でエンタメをしている作品。そういう作品を撮れる人がこう言ってくれるのはとてもうれしいこと。毎回言っているように、いつまでも“『リング』の中田”“『呪怨』の清水”と言わせないでほしいし言われたくない。僕らも悔しがりたいと思ってこの選考委員をやってきたので、とても光栄です」と、期待感をあらわにした。

「第1回日本ホラー映画大賞」受賞作上映会は、8月3日(木)まで開催中。

取材・文/久保田 和馬

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