マーゴット・ロビーが語る、『バービー』の舞台裏で感じた”責任”
「物語を通してバービーが進化するにつれて、ワードローブにも変化が起き始める」
――バービーとしておしゃれをすることについてどう思いましたか?
「バービーが完璧な1日を送るためには、ドレスを着なければいけません。ベッドで目覚めると、隣に住むバービーに手を振り、歯を磨いてシャワーを浴びます。そして魔法のワードローブへ向かうと、その日の洋服が用意されています。バービーはワードローブのドアを開けて、洋服を見つけたら、くるりと回転するだけで、次の瞬間にはその洋服をまとっています。彼女がワードローブを後にすると、翌日の洋服がスタンバイしています」
――カラフルでファッショナブルな衣装がとてもすてきでした。
「きっと観客は、シャネルの洋服がたくさん登場することに気づくと思います。バービーたちはシャネルが大好きなので。映画のなかで私はシャネルのすてきな衣装を何着も着ています。すべてのアクセサリーを身につけることがバービーのモットーだから、帽子かリボン、イヤリングと宝石はマストアイテムです。宝石は、人形がつけているみたいにサイズが大きくて、プラスチック感のある大きなネックレスやイヤリングをつけています。帽子は決して日除けのためじゃなくて、バッグやシューズ、そのほかすべてのアイテムと合わせるアクセサリーです。本当に楽しい経験でした。
衣装のジャクリーン・デュランはとても優秀です。映画の展開に沿った彼女の衣装選びは繊細ですが、観客は1回映画を観ただけでは気がつかないかもしれません。でも、この記事を読んでから映画を観れば、数十年にわたるバービーのファッションの変遷が、年代順に紹介されていることが分かると思います。例えば、私が演じるバービーは、初めはきっちりと管理され、安全が確保された生活をしているから、衣装もすっきりとしたシルエットのかっちりしたデザインで大胆な配色のもので統制されています。そして物語を通して彼女が進化するにつれて、ワードローブにも変化が起き始め、彼女はよりやさしい印象を帯びていきます」
「グレタ・ガーウィグ監督はエネルギーがみなぎっている人」
――グレタ・ガーウィグ監督の印象について聞かせてください。
「グレタは傑出した監督、脚本家、そして映像作家であり、現代の映画制作を象徴する数少ないフィルムメーカーの一人になりつつあります。昔ながらの映画制作の方法を用いながら、これまで100年間にわたる映画の歴史全体に対して理解と情熱を注ぎ込み、この世界で生きる人間に対する現代的な視点を通して描く制作スタイル、そこがグレタのとくに長けているところだと思います。
グレタには、明るくてハッピーで協力的という私たちが思い描くバービーランドにぴったりな雰囲気を撮影現場にもたらす不思議な力がありました。彼女はいつでも明るく、このうえなくすてきで、一番の味方になってくれる監督であるうえに、計り知れない才能にもあふれています。グレタはまさにバービーのエネルギーがみなぎっている人です」
文/山崎伸子