新生DCユニバースに加わるラテンヒーロー『Blue Beetle』が『バービー』のV5を阻止!
破竹の勢いで興収を積み重ねていく『バービー』(日本公開中)のV5を阻止したのは、DCエクステンデッド・ユニバースの最新作となる『Blue Beetle』。先週末(8月18日から20日)の北米興収ランキングの概況を、期待に応え1位に輝いた『Blue Beetle』からチェックしていくことにしよう。
DCユニバースの新ヒーローが、高評価を背景に首位発進
初のラテン系ヒーロー単独映画として注目を集めてきた『Blue Beetle』の初日から3日間の興収は2503万ドルと、『バービー』を負かしたというインパクトとは裏腹に少々寂しい数字。これには俳優組合のストライキによって思うようにプロモーションができなかったことなどの理由が挙げられるのだが、それでもコロナ禍というイレギュラー期に公開された『ワンダーウーマン1984』(20)に次ぐDCユニバースでワースト2位のオープニングだ。
1億ドル強の製作費の回収は極めて困難な状況になってしまったが、作品の評価は決して悪くない。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は76%と、時折酷評が集中しやすいDCユニバース作品としては充分すぎる高評価。また観客からの好意的評価の割合は92%と、『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(21)の93%に次ぐ高評価となっている。
今年1月にジェームズ・ガンによって刷新が発表されたDCユニバース。2025年に公開予定の『Superman: Legacy』が新生DCユニバースの映画第1弾となることが発表されているとはいえ、今年公開される作品が消化試合というわけでもない。すでにブルービートルは新生DCユニバースのキャラクターとして組み込まれることが表明されており、今後の作品に登場する可能性も。今後の動向に注目しておきたい。
『バービー』、ワーナー・ブラザース作品の北米興収で歴代首位に!
さて、『Blue Beetle』が封切られるまでデイリー興収1位を28日間守り続けてきた『バービー』に話題を移そう。5週目末に2位に陥落したものの、週末3日間の興収は2103万ドルと僅差。数字面ではそろそろ落ち着いてきたかのように見える一方で、前述のストライキによって有力作の公開延期が噂される来年のアカデミー賞戦線において作品賞ノミネートはほぼ当確、場合によっては頂点に輝く可能性もあるとの見方も強まってきているのだから盛り上がりは尽きない。
15日の火曜日の段階で『ダークナイト』(08)を上回り、歴代ワーナー・ブラザース作品の北米興収ナンバーワンに上り詰め、週末段階では累計興収5億6681万ドルで北米歴代興収ランキングの15位に。全世界興収では12億8000万ドルを突破して現在21位。ワーナー作品だけで見れば、現在17位の『ハリー・ポッターと死の秘宝/PART2』(11)まであと6000万ドルほど。それを超えるのも時間の問題だ。
そんな『バービー』と双璧をなしてきたクリストファー・ノーラン監督の『Oppenheimer』もまだまだ好調で、5週目末でも3日間興収1000万ドルを維持している。こちらは北米累計興収2億8535万ドルを突破。ついに『SING/シング』(16)を抜いて、“1位になれなかった映画”の歴代1位に立ち、このまま(1位になることがなければ)どんどんとその記録を更新していくことになるのだろう。
文/久保田 和馬