岩井俊二監督、『キリエのうた』ロケ地の石巻市は「思い出が詰まっている場所」としみじみ|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
岩井俊二監督、『キリエのうた』ロケ地の石巻市は「思い出が詰まっている場所」としみじみ

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岩井俊二監督、『キリエのうた』ロケ地の石巻市は「思い出が詰まっている場所」としみじみ

岩井俊二監督最新作『キリエのうた』(10月13日公開)の舞台挨拶付き宮城限定試写会が、本作のロケ地となった石巻市で開催され、岩井監督が石巻市の齋藤雅美市長との再会を果たした。

【写真を見る】『キリエのうた』では、路上ミュージシャンの主人公をアイナ・ジ・エンドが演じる
【写真を見る】『キリエのうた』では、路上ミュージシャンの主人公をアイナ・ジ・エンドが演じる[C]2023 Kyrie Film Band

仙台出身の岩井監督は映画『ラストレター』(20)でも仙台にてロケを実施。本作には『ラストレター』に携わった制作スタッフも参加しているそうだ。最新作で描かれるのは歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャン、キリエの物語。アイナ・ジ・エンドが主人公のキリエ役を務め、松村北斗(SixTONES)がいなくなった恋人を想う夏彦を、広瀬すずが名前も過去も捨てたイッコを演じている。

舞台挨拶前には、石巻市長が岩井監督のもとを訪れた。ロケが行われた2022年の春、5月以来の再会だと話した2人。石巻市長は「石巻という地名が出ただけで全国の方がなにかを感じるはずです!」と力強く語った。岩井監督は、石巻での舞台挨拶は「感慨深いです!」とコメント。本作で音楽を担当している小林武史が携わる「Reborn-Art Festival」に触れ、「僕も呼ばれて参加したことがあるフェスですし、友達もたくさんいるのでとても縁の深い場所。震災の時もドキュメンタリーを撮影しに来た場所なので、思い出が詰まっています。その地での舞台挨拶はとても感慨深いです」と石巻への思いを語った。

石巻市での舞台挨拶への思いを語った
石巻市での舞台挨拶への思いを語った

この日は、夏の全国高校野球の決勝戦で仙台育英と慶応が対戦。石巻の舞台挨拶後には仙台も訪れる予定だと明かした岩井監督に「映画も野球も仙台が盛り上がるといいですね」と微笑んだ石巻市長。この言葉に岩井監督は「仙台育英が優勝したら、僕の(ニュース)はカットされるんじゃないかな…」と茶目っ気たっぷりに語り、石巻市長、そして一緒に岩井監督のもとを訪れた石巻市産業部観光課の職員を笑わせた。

岩井監督が石巻での舞台挨拶後に仙台に移動することを残念がった石巻市長が「次回は、必ずおいしいものを一緒に食べましょう!」とお誘いする場面も。最近、石巻では名物の牡蠣やカツオ以外にも、太刀魚や伊勢海老、フグまで採れるそうで、「地球温暖化の影響かな」などと地元トークから環境問題にまでテーマが広がり、大いに盛り上がった2人。石巻市長が「僕のお気に入りの寿司屋に小林(武史)さんもよくいらっしゃるそうです。小林さんだけでなく東京からたくさんの方が、そこの寿司を食べるためだけに石巻に来るんですよ」と穴場を紹介すると、岩井監督は「今度はぜひ3人で!」と笑顔を見せていた。


主人公のキリエは、歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャン
主人公のキリエは、歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャン[C]2023 Kyrie Film Band

写真撮影の際には石巻市長がポスターを見つめながら、「原作も監督も脚本も岩井さん。なんでもできちゃうんですね」と話すと、「いつもこんな感じなんです」と照れながら返答するなど、終始和やかなムードで再会の時間を楽しんでいた。

取材・文/タナカシノブ

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