『グランツーリスモ』が北米No.1発進!『バービー』はついに『ハリポタ』超えを達成
先週末(8月25日から27日)の北米興収ランキングは、ニール・ブロムカンプ監督の最新作『グランツーリスモ』(9月15日日本公開)が初登場でナンバーワンを獲得。全世界で9000万本以上を売り上げる人気ゲームから生まれた物語だが、近年流行りのゲームの映画化とは少々趣が異なり、ゲームのプレイヤーから本物のレーサーを育成するという実話を映画化したものだ。
初日から3日間の興行収入は1741万ドルと、6000万ドルの製作費を考えるともう少し欲しかったと言えなくもない数字。監督デビュー作『第9地区』(09)で一気に大成功を収めたブロムカンプ監督だが、続く『エリジウム』(13)で興行的に惨敗し、その後の『チャッピー』(15)も不発が続いた(2021年に公開された『デモニック』は公開時期・規模から参考外)。
しかし今回、『チャッピー』のオープニング興収1334万ドルを上回るスタートを切れたこと、そしてなにより、批評集積サイト「ロッテン・トマト」では批評家からの好意的評価は63%(これは『エリジウム』の64%に匹敵)、観客からの好意的評価は『第9地区』の82%を大きく上回る98%を記録したことは大きい。北米、海外共に興行的なインパクトは薄いものの、着実にブロムカンプ復調の兆しが窺えると好意的に捉えておきたい。
前週にDCの『Blue Beetle』によって首位から陥落した『バービー』(公開中)は、前週比7割以上の興収を保ち2位をキープしており、しかも1位の『グランツーリスモ』との興収差はわずかに230万ドル。デイリー興収では、前週末の際は『Blue Beetle』に3日間とも明け渡したが、対『グランツーリスモ』では初日の金曜日以外譲らず。公開から約40日で、デイリー興収1位を逃したのはわずか4日だけの無双状態を続けている。
先日ついに全世界興収13億4300万ドルに達し、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(11)を上回り、ワーナー・ブラザース配給作品の全世界歴代ナンバーワン作品へと上り詰めた『バービー』。北米累計興収は9月1日の金曜日には6億ドルに到達する見込みで、この勢いを維持すれば北米歴代興収ランキングのベストテン入りも夢ではなさそうだ(現在14位で、10位の『ジュラシック・ワールド』まであと5000万ドルほどに迫っている)。
ランキングのほかの作品に目を向けると、クリストファー・ノーラン監督の『Oppenheimer』がついに北米累計興収3億ドルの大台を突破。また8位にはリーアム・ニーソン主演の『Retribution』が、9位にはデニス・クエイド主演の『The Hill』と、“いぶし銀俳優”たちの新作が軒並み初登場を飾っている。
そして『ジュラシック・パーク』(93)の公開30周年記念上映が13位にランクイン。『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(21)でシリーズ完結を迎えてから初のアニバーサリー上映となった今回。10年前の20周年の際には再上映だけで興収4500万ドルを稼ぎだしたが、それと比較すると今回は落ち着いている様子。それでもやはり“劇場で見たい”と思わせるだけの根強い人気を感じずにはいられない。
文/久保田 和馬