北米興収は『死霊館のシスター』最新作と『名探偵ポアロ』が熾烈なデッドヒート!
先週末(9月15日から17日)の北米興収ランキングは、1位と2位の興収差がわずか25万5050ドル。今年6月の4週目に『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(23)と『マイ・エレメント』(日本公開中)が56万ドル差で首位争いを演じたが、今回はそれを上回る熾烈なデッドヒートが展開。前週1位スタートを飾った『死霊館のシスター 呪いの秘密』(10月6日日本公開)と、封切られたばかりの『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(日本公開中)、どちらに軍配が上がったのか。
1位を飾ったのは前週に引き続き『死霊館のシスター 呪いの秘密』。週末3日間で興収1453万ドルという数字は、前週比44.6%。やや大きなドロップに見えるが、意外にも今年1位スタートを切った作品の2週目の成績としては9番目に高い維持率を見せている(もっとも、そのうち1作品は初週末の興収から1000万ドルを下回っていたのだが)。累計興収では危なげなく5000万ドルを突破。海外興収もすでに1億ドルを突破している模様。
対して週末3日間で興収1427万ドルを記録し2位スタートとなった『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』は、初日の金曜日と平日のデイリー興収では『死霊館のシスター』を上回ることに成功(木曜日には再び逆転されたが)。ホラー映画とミステリー映画、それぞれの客層の違いが数字となってあらわれているようだ。
ケネス・ブラナーの監督&主演による、アガサ・クリスティ原作の映画化はこれで3作目。今回は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)でオスカーに輝いたばかりのミシェル・ヨーの存在がアンサンブルを牽引している。
興収面で過去作と比較してみると、『オリエント急行殺人事件』(17)はオープニング興収2868万ドルで最終興収はギリギリで1億ドルを突破。前作『ナイル殺人事件』(22)はコロナ禍の影響が色濃く残るタイミングでの公開ということもあり、オープニング興収は1289万ドルと控えめで、最終興収も4536万ドルに留まっていた。今作は数字上は前作を上回るスタートを切ったとはいえ、少々地味なスタートといえよう。
肝心の批評面はというと、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価は76%、観客からの好意的評価は77%と、まずまず高い数字をキープ。前作がそれぞれ61%と82%、前々作が60%と54%だったことを踏まえれば、概ね上昇傾向にあることがわかる。とりわけ今作は過去にテレビドラマ化しかされていない「ハロウィーン・パーティ」の初映画化で、出来栄えの面で比較対象が難しいことも功を奏したか。いずれにせよ、「名探偵ポアロ」シリーズのさらなる継続は充分に期待できるだろう。
文/久保田 和馬