監督ギャスパー・ノエ＆主演ダリオ・アルジェント『VORTEX ヴォルテックス』公開決定！

実験的な試みと過激な描写で知られるギャスパー・ノエ監督の最新作『VORTEX ヴォルテックス』が12月8日(金)より公開されることが決定。あわせて、本作のポスタービジュアル、予告編が解禁となった。

人はどう死んでいくのかという、誰もが目を背けたくなる現実を題材に描く本作。ノエが“暴力”、“セックス”を封印し、“病”と“死”をテーマに自身の経験を踏まえた新たな世界を作り上げた。主演は、80歳にして初主演をはたすホラー映画監督のダリオ・アルジェントと、『ママと娼婦』(96)の娼婦役で知られるフランソワーズ・ルブラン。スプリットスクリーンの画面分割によって、老夫婦の日常が2つの視点から同時進行で展開するという構成になっており、心通わぬ家族や不測の出来事、やがて訪れる死によって、暴力なき恐怖の渦に吸い込まれる作品となっている。

解禁されたのは、薔薇が敷き詰められ、まるで“棺桶”を連想させるような枠の中で瞳を閉じる夫(アルジェント)と、妻(ルブラン)の姿が目を引く衝撃的なポスタービジュアル。「人生は、夢の中の夢」という意味深なキャッチコピーとともに、2人を待ち受ける逃れられない老いや孤立、死を感じさせられるものとなっている。ノエ監督が本作で描く、死よりも恐ろしい“現実“を否が応でも感じさせられる不穏に満ちたビジュアルに仕上がった。

あわせて解禁された予告では、本作を象徴するスプリットスクリーンのシーンも登場する。心臓病を患う“夫”と認知症が進行する“妻”という余命いくばくもない2人と、離れて暮らす“息子”(アレックス・ルッツ)。一見仲睦まじい家族の様子が描かれるかと思いきや、次第に日常は崩れ去っていく。誰もが目を背けている運命が無情にも迫りつつある様子が印象的な映像となった。

ノエ監督が描くどんなホラー映画よりも怖すぎる「地獄」とはどのようなものなのだろうか？過激で「動」な作風から打って変わり、静かに、そして確実にゆっくりと破滅へと向かっていく人間模様を描く本作に期待が高まる。

文/鈴木レイヤ