青山剛昌、『名探偵コナン』ネタバレありの舞台挨拶で「来年の映画は、平次くんがとんでもないところで戦う」次回作予告に会場も大興奮!
劇場版第26弾にしてシリーズ歴代ナンバーワンの成績を記録し、いまもなお全国の劇場でロングラン上映を続けている『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のティーチイン付き・ブラックボックス舞台挨拶が9月30日にTOHOシネマズ日比谷で開催され、高山みなみ(江戸川コナン役)、立川譲監督、原作者の青山剛昌が登壇。絵コンテや青山直筆のカットがお披露目となったほか、青山が来年の映画について語り、会場を大いに盛り上げた。
東京、八丈島近海に建設された世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設“パシフィック・ブイ”を舞台に、コナンや灰原哀が、とある技術をめぐる陰謀に立ち向かう姿を描く本作。4月14日の公開から9月28日までの168日間で観客動員数974万人、興行収入137億円を突破し、シリーズ歴代記録を大きく更新した。立川監督は「公開から5か月近く経って、こんなに豪華なメンバーと舞台挨拶ができることをすごくうれしく思っています」と感激しきり。一際大きな拍手を浴びて登場した「名探偵コナン」の生みの親である青山は、会場の熱気を目の当たりにして「うれしいです。ありがとうございます」と感謝していた。
立川監督は「青山先生は、脚本の打ち合わせや、絵コンテも全部目を通してもらって、セリフや絵の監修をしてくれています」と映画の成り立ちを説明すると共に、青山がすべてに携わっていることを明かし、青山は「企画会議も、いつも俺んちに集まってね」と笑顔。立川監督は、青山による絵コンテチェックのスピードがあまりにも速いことに驚いていたが、高山も「絵コンテって、電話帳みたいな厚さのものが5冊くらいあったりする。すごい量だよね」と続くと、青山は「大変だよね。漫画家の仕事じゃないよね」と目尻を下げつつも、「おもしろいです。おもしろくないとやれない」と話していた。
この日は、青山の提案によって修正の入った絵コンテがお披露目となる場面もあり、会場も大興奮。青山の描いた原画もスクリーンに投影された。劇場版で青山が原画を手がけたシーンは毎回話題にもなるが、コナンの原画を青山が担当したのは2019年公開の『紺青の拳(フィスト)』以来のことだという。
青山が「(コナンを)描かないと高山さんに、愛されていないと言われる」と切りだし、高山が「怒られるからね」と応じると、会場も爆笑。さらに高山は「最初のころって、ラストカットだけとか、あっても2カットあるかなくらいだった。『すごい!描いてくれるんだ!』と思っていたけど、(最近は)『こんなに描いても大丈夫なの?』って思うくらい」と青山の担当する原画が年々増えていることに触れ、「試写が終わった後に、『多くない?』と言った」という。すると青山は「俺の絵だって、よくわかるね」、高山が「わかるでしょ」と息の合ったやり取りを見せつつ、青山は「最初は(アニメーターに)遠慮していた。最近は遠慮していない」と楽しそうに打ち明けた。
また立川監督は、「先生の絵にはすごく特徴がある。髪の毛の影付けや、肌の影付けの仕方とか立体感があって、すごくいいなと思っているんです。簡単に真似できない難しさみたいなものがあって、それをもう少し映画のなかで増やしていけるとよりいいのかなという想いがあります」と期待。「今回はお願いして、ベルモットとジンを追加で描いてもらった。キールとかも、おかわりで描いてもらえばよかったなと思っています」と欲を出すと、青山は「頼まれれば描いていましたよ」と笑顔を見せていた。
そして、会場からの質問に答えるコーナーも実施された。「青山先生が原画を描いたシーンで、一番好きなシーンは?」と聞かれると、高山は「コナンを描いてくれたところがやっぱり好きですね」、立川監督は「一番最後の灰原ですね。表情がとにかくよくて、あの表情は先生にしか描けない」と惚れ惚れ。さらに黒ずくめの組織のメンバーであるキャラクター、ピンガの着想について質問した人もいたが、青山は「いままでにないような、ジョジョに出てきそうなキャラにしたいなと思って出てきました」と告白し、立川監督は「メキシコのお酒の名前なので、戦い方や髪型はそのイメージで。髪型は僕から提案させてもらいした」とコメント。青山は「村瀬さん、うまいよね」とピンガを演じた村瀬歩を称え、立川監督も「男性声優で女性の声を出せる人は何人かいるんですが、そのなかでも飛び抜けて上手。アクションシーンで出る吐息を演じるのって難しいんですが、それもすごく上手」と絶賛していた。
貴重な話で大いに盛り上がったイベントとなったが、最後に高山は「たくさん回数も観ていただいて、たくさん応援をいただいて、愛を感じる。毎月『まさかここまでとはな…』と思っています。本当に愛してもらえる作品になりました。まだまだこれから続きます。次回作もどうぞよろしくお願いします」と心を込めた。「ちょっと来年の映画の話を」と口火を切った青山は、「(服部)平次くんがとんでもないところで戦う。コナンくんがとんでもないところをスケボーで走るのでお楽しみに」とサービス精神たっぷりに予告。高山は「ちょっと!」と驚き、会場からも「ええー!」というどよめきと拍手が沸き起こっていた。
取材・文/成田おり枝