朝井リョウ原作&岸善幸監督『正欲』Vaundyの主題歌が響く本予告映像
朝井リョウによる同名小説を、岸善幸監督のメガホンで映画化した『正欲』(11月10日公開)。このたび、本作よりVaundyが歌う主題歌が流れる本予告映像が解禁となった。
原作は、2009年「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウが作家生活10周年で書き上げた「正欲」。「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と朝井が語る原作は、2021年3月に発売されるやいなやその内容が波紋を呼び、第34回柴田錬三郎賞を受賞した。港岳彦が脚本を手がけ、稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太、東野絢香らが出演。家庭環境、性的指向、容姿と様々に異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写し、人が生きていくための推進力になるのはなんなのかというテーマを炙りだしていく。
今回解禁された映像では、主要キャラクターとなる5人の新たなシーンを含む60秒の予告が展開されている。正義で世界を測る検事の啓喜(稲垣)は「社会の“バグ“は本当にいるの。悪魔みたいなやつがいるんだよ!」と激昂したかと思えば、かすかな笑みを浮かべながら静かに空を見上げる場面に転換。また、大学生の八重子(東野)は、自分が落としたプリントを拾ってくれた見知らぬ男性と手が触れ合った瞬間、怯えるようにその手を引っ込める。八重子と同じ大学に通う大也(佐藤)は感情を吐きだすかのような激しいダンスを披露し、とある秘密を抱える夏月(新垣)は着衣のままプールに浮かび、夏月と秘密を共有する佳道(磯村)は「この世界で生きていくために、手を組みませんか?」と彼女の目を見て語りかける。「それでも私たちが、抱えている欲望はあっていいものだと思いたい」と語り、ぎこちなくも優しく佳道を抱きしめる夏月の姿が映しだされたかと思えば、画面にはタイトル『正欲』の文字が。タイトルの言葉の意図するものや、彼らの人生が向かう先に興味が引かれる映像となっている。
今回の予告編では印象的なシーンの数々とともにVaundyの主題歌「呼吸のように」が響く。自身初の映画主題歌となった本楽曲は、書き溜めた未発表の曲から、映画の世界観に合うものをVaundyが選び提供したもの。かけがえのない人とのつながりを表現した「これが愛であって欲しい と言うのが君であって欲しい」という歌詞が、映画に深い余韻を響かせている。
いま、この時代にこそ必要とされる本作からのメッセージとは?日本映画界を代表する実力派俳優が集結した本作をぜひ劇場で目撃してほしい。
文/鈴木レイヤ