オーケストラとの親和性がカギ?『ガールズ&パンツァー』シネマティック・コンサートを体験してきた
映画本編にあわせて音楽をオーケストラが生演奏するシネマティック・コンサート。ヨーロッパやアメリカで人気を博し、過去にはここ日本でも『タイタニック』などの作品で行われてきたが、『ガールズ&パンツァー 劇場版』でも同様の企画が行われると聞き、編集部を代表して体験してきた。
勇壮なマーチなどを管弦楽にアレンジしたオーケストラ・コンサートなども行われてきた同作。今回は2回限定の企画で、6月に行われた大宮公演では劇場版でも主題歌を担当したChouChoが急病で出演をとりやめたこともあって、この7月9日のパシフィコ横浜 国立大ホールでの横浜公演は異様な雰囲気だった。
そんな中、ステージ奥からChouChoが登場。劇場版のイメージソングである「GloryStory」の歌唱の後、「大宮公演は入院して歌えなくてすみませんでした。もう大丈夫です」と挨拶。伸びやかな歌声からも復調はうかがえたが、彼女の言葉に反応するように場内からは復帰を祝う温かい拍手があがった。そして、挨拶を終えた彼女がステージを後にするといよいよ本編の上映が開始。
序盤の見せ場である大洗町でのエキシビションマッチで街を行く戦車にあわせてマーチが奏でられ、帰郷した西住みほと姉・まほとの幼少時の回想シーンではハープの美しい音色が会場に響き渡る。ステージ上部に据えられたスクリーンに上映される本編の映像を見ながら、どの楽器が鳴っているのかを目で確認したり、観客それぞれが初めての体験にドキドキしながら楽しんでいた模様。
廃校の危機に陥った大洗女子学園・戦車道チームと大学選抜チームとの試合が始まるところで上映は一時中断。20分の休憩時にはオーケストラのメンバーもステージからはけ、場内の熱気は自然とクールダウンしたかのようだった。その後、上映が再開されるが、各々がオーケストラの演奏を静かに聴くという感じで、たった一度の貴重な機会をしっかりと心に刻んでいたようだった。
上映が終わると、場内からは自然とアンコールを求める拍手が始まり、それに応えるようにChouchoが再登場し、TV版のオープニング主題歌「DreamRiser」を熱唱。さらに大宮公演で彼女の代役を務めた佐咲紗花が登場。『ガールズ&パンツァー 最終章』の第1~3話の主題歌を佐咲紗花が、第4~6話をChouChoが担当することが発表され、佐咲の新曲で前半の主題歌となる「Grand symphony」がオーケストラをバックに初披露された。
本編が終了すると、指揮を務めた栗田博文がここでマイクを握る。自身もガルパンおじさんであることをカミングアウトすると、場内からは大爆笑。さらに「ガルパンはいいぞ」というガルパンファンにはおなじみのフレーズが飛び出るや、場内からは拍手が。ここで栗田氏から“いいぞ三唱”の提案があり、「ガルパンは」に“いいぞ!”「オーケストラは」に“いいぞ!”「そして会場のみんなも」に“いいぞ!”という大団円で終了かと思いきや、エンディング主題歌「Enter Enter MISSION !」の大合唱のあと、スタンディングオベーションが起こり、約3時間のコンサートは終了。
『ガールズ&パンツァー』という作品とオーケストラとの親和性の高さもありコンサートは大成功したが、ぜひ他のアニメや邦画でもシネマティック・コンサートを開催してほしいと思わせる一夜だった。【取材・文/トライワークス】