オダギリジョー、中国の巨匠ロウ・イエ監督作『サタデー・フィクション』キャストとの距離を縮めたのは「睡眠術の講義」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
オダギリジョー、中国の巨匠ロウ・イエ監督作『サタデー・フィクション』キャストとの距離を縮めたのは「睡眠術の講義」

イベント

オダギリジョー、中国の巨匠ロウ・イエ監督作『サタデー・フィクション』キャストとの距離を縮めたのは「睡眠術の講義」

第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品された、モノクロ映画『サタデー・フィクション』(公開中)。その公開初日舞台挨拶が3日に都内で行われ、出演者のオダギリジョー、中島歩、脚本家兼プロデューサーのマー・インリー、そして4年ぶりに来日したロウ・イエ監督が登壇した。

【写真を見る】催眠術講座を受けた俳優の姿とは?
【写真を見る】催眠術講座を受けた俳優の姿とは?

世界各国の諜報員が暗躍していた時代を舞台に、人気女優とスパイの2つの顔を持つ主人公を中心に据え、当時上海の中心とされていた現存する劇場「蘭心大劇場」で巻き起こる愛と謀略の物語を美しいモノクロ映像で描き出す。主演のコン・リーをはじめ、台湾のマーク・チャオ、フランスのパスカル・グレゴリー、ドイツのトム・ヴラシアなど、世界で活躍する国際的なキャストが集結。日本からはオダギリと中島が参加している。

オダギリ曰く、彩り豊かな共演者と打ち解けることが出来たのは上海で行われた「催眠術の講義」らしい。オダギリは「上海に行って、最初にキャストのみんなで集まったのは、催眠術の講義でした。劇中に催眠術が出てくるんですが、それをまずは皆で学ぼうと。催眠術の先生が来て、実際に術をかけていくんです」と回想。まさかの催眠術講義にキャスト陣のほとんどが戸惑っていたそうで「みんながみんな『本当に…?これで大丈夫なの…?』という不安な気持ちが思いっきり顔に出ていて。みんな同じように戸惑っていたので、不安な気持ちを共有して仲良くなれました」とシュールな状況がプラスになったという。


これに中島も「僕は途中からチームに参加したんですけど、入ったらその気まずい状況で『一体なにが起きているんだ?』と…。シュールな状況ですごく怖かった」と苦笑い。するとロウ監督は「いまお話しになったことは、僕の撮影現場の大きな秘密だったんだけどな…。バラされちゃった」とジョークを口にして場内爆笑となった。

中島歩とオダギリジョー
中島歩とオダギリジョー

上映後の観客の反応ついて、オダギリは「映画の上映が終わった時に皆さんの拍手が聞こえました。なかなか映画館で拍手が沸き起こることはないと思うので、とてもうれしく思っています」とニッコリ。中島はコロナ禍で映画の公開が延期となったことに触れて「撮影から6年ほどが経ちましたが、あれから劇的に世界が変わって、日本の観客のみなさんがどのように映画を感じられるのか、とても興味深いです」と反響に期待していた。

本作の豪華キャスティングについてロウ監督は「オダギリジョーさんのキャスティングは最初から決めていました。原作に出てくる役とは少し設定が違うのですが、原作を読んでオダギリさんにお願いしたいと考えていました。それからコン・リーさん、そしてパスカル・グレゴリーさんの出演が決まり、本格的に物語ができあがっていきました」と舞台裏を紹介。

また中島の起用については「物語を作っていくうちに、バイオレンスを担うキャラクターが欲しいとなり、中島さんが演じた梶原を新たに追加しました。初めて中島さんにお会いしたのはオンラインの画面上でしたが、どこからどう見ても文学青年だったので、この役を任せていいのか不安になったのですが、本人が『やれます』と言ってくれたので任せることにしました」と信頼を寄せていた。これに中島は「そう言うしかないですよね!」と笑わせつつ「僕はロウ・イエ監督のファンでしたし、絶対出演したかったので無理やり信じてもらいました」と念願の出演に喜色満面だった。

取材・文/石井隼人

関連作品