いま話題の水木しげる2大作品!「ゲゲゲの鬼太郎」と「悪魔くん」が共演してたって知ってる?
11月9日には33年ぶりとなる新作アニメ「悪魔くん」がNetflixで配信、11月17日には『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が公開されるなど、水木しげる生誕100周年を記念した作品が立て続けにリリースされ、話題を集めている。
「悪魔くん」と「ゲゲゲの鬼太郎」といえば、水木しげるの2大代表作。新作アニメ「悪魔くん」のなかでも妖気を感じると髪の毛が立つという鬼太郎の設定を茶化した会話が登場するなど、互いに意識した関係にあり、これまでたびたびクロスオーバーを果たしている。
ダークな悪魔くんと鬼太郎が真っ向勝負した読み切りがあった!
1963年の貸本に始まり、“悪魔くん”と呼ばれる天才児が、魔術を使いながら全人類が幸せに生きられる世界を築こうとする「悪魔くん」。主人公の名前を松下一郎とする初代に、山田真吾版、埋れ木真吾版と、出版社や作品ごとに様々なバージョンが存在する。
一方の「ゲゲゲの鬼太郎」も貸本漫画からスタートすると様々な出版社を渡り歩いてきた。そのため短めの連載や読み切りも多く、その名もズバリ「鬼太郎対悪魔くん」という1976年の「月刊少年ジャンプ」の読み切り作品で公式コラボを果たしている。
悪魔の力を借りてでもユートピアを実現しようとする暴力的な側面がある、貸本での松下一郎版悪魔くんが登場する本作。物語は、貸本のラストで悪魔くんが警察の凶弾に倒れた直後からスタート。地獄に堕ちたものの持ち前の頭脳で制圧した悪魔くんが、地獄と現世を統一すべく悪魔軍団と共に東京に襲来。地上の混乱を狙うねずみ男と魔女軍団の計略により、鬼太郎率いる妖怪軍団と戦うことになる。
コラボものにしては珍しく、2大主人公の真っ向勝負が繰り広げられる「鬼太郎対悪魔くん」。圧倒的な頭脳を武器に地上を襲う悪魔くんに対し、鬼太郎たちはなす術あるのか?意外な結末につながっていく1作だ。
協力して悪の妖怪に立ち向かう実写版ビデオドラマも
埋れ木一郎を主人公とする現在配信中のアニメのほかにも、1960年代のドラマ版など何度も映像化されてきた「悪魔くん」。また「ゲゲゲの鬼太郎」も各年代ごとのテレビアニメを筆頭に、時にビデオ作品、時に実写版と映像化が繰り返されてきた。
そんな数ある映像作品のなかで両者が共演を果たしたのが、1987年のビデオ映画として制作された実写版「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪奇伝・魔笛 エロイムエッサイム」だ。本作には、山田真吾版悪魔くんが重要なキャラクターとして登場する。
ある日、鬼太郎のもとに親友の悪魔くんから「妖怪・桜子によって精気を抜かれミイラ人間になり失踪してしまった学校の担任の先生を助ける力を貸してほしい」という手紙が届く。鬼太郎たち一行は先生がいるという廃墟に向かうが、そこで桜子たちに襲われ砂かけ婆と子泣き爺もミイラ化させられるピンチに陥ってしまい…と、悪魔くんの頼みから始まる妖怪退治の物語が繰り広げられる。
窮地の悪魔くんを鬼太郎のちゃんちゃんこが救ったり、逆に鬼太郎のピンチに悪魔くんが駆けつけたりと読み切りの時とは真逆の関係が描かれている。狡猾だがどこか憎めない点など、なにかと類似したキャラクターとされるねずみ男とメフィストの交流などクロスオーバーならではの見どころも多い作品となっている。
「悪魔くん」と「ゲゲゲの鬼太郎」が盛り上がりを見せるいま、これらのコラボレーション作品をチェックすれば、作品をよりいっそう楽しめるかもしれない。
文/サンクレイオ翼