『プレシャス』だけじゃない! オスカー期待の秀作たち

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『プレシャス』だけじゃない! オスカー期待の秀作たち

米国貧困層の子供への性的・肉体的虐待というヘヴィな問題を扱ったインディーズ映画『プレシャス』は、今からオスカー大本命視されており、“今年の『スラムドッグ$ミリオネア』”と呼ぶ人さえいる。しかし、本作以外にもオスカーにからんできそうな低予算作品はある。

ニューヨークとロサンゼルスの両方で映画批評家協会賞作品賞を受賞した『ハート・ロッカー』(3月16日公開)はイラクに駐屯する米軍爆発物処理班の人々の日常を描いた作品。低予算作品のため、ロケに参加した俳優たちにも、エアコン付きのトレーラーや個人用のバスルームといったハリウッド的待遇は一切なかったという。最初は全米4館という寂しい状況で米国公開されたが、評論家に高く評価されじわじわ上映館数を増やしていった映画だ。

また、英国映画『17歳の肖像』(原題:An Education)は、人気作家ニック・ホーンビィが英国の女性ジャーナリストの伝記に興味を持って脚本化した作品。「これは大手映画会社に人気女優主演で製作させる映画ではない」というホーンビィの意志通り、無名の女優キャリー・マリガンを起用してインディーズ作品として製作された。そのマリガンが英国アカデミー賞主演女優賞の有力候補と囁かれているのだから、彼の決断は正しかったと言えるだろう。

話題の映画『プレシャス』の陰に隠れるようにして渋い光を放っている作品たちが、どの程度オスカーにからんでくるのか、興味深いところだ。【UK在住/ブレイディみかこ】

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