驚愕映像『アバター』あの“重要シーン”の裏側を読む
脅威の映像が体験できると、現在映画館へ足を運ぶ人が続出している『アバター』。本作のジェームズ・キャメロン監督に直撃インタビューし、劇中でポイントとなるある“侵略”シーンについて話を聞いた。
そのシーンとは、青い皮膚をした知的生命体ナヴィが住むパンドラという惑星に、地球からやって来た軍隊が踏み込んでいく、というもの。臨場感あふれる脅威の3D映像で描かれ、まるで観ている我々が襲われた気分になる。象徴的に描かれるこのシーンに、何か政治的な意味合いが含まれているのか聞いてみた。
キャメロン監督は、「そうだね。もちろんそうだよ」と即答。「人類の歴史は侵略の歴史でもある。植民地時代では、列強が北米や南米を侵略していた。“現地人から欲しいものを勝手に取る”というのが侵略ですよね。映画では、侵略される側はどういう気持ちになるかという“被害を受ける人”の側から描いています」と話す。
「多勢に無勢で襲われたときにどのような気持ちになるか、(劇中で)ヘリコプターの大軍が飛んでくるのはすごい脅威ですよね。私もときどきヘリがワーッと飛んでくると、“襲われたらどうしよう”と想像してしまう。なので、襲われた側がどういう気持ちになるかを自問させたいんです。この今の地球を見なさい、政治家たちがやっていることを見なさい、目を開きなさい、ということをこの映画は明確なメッセージとして教えてくれています」と、このシーンについて説明してくれた。
続けて、「“軍隊は正義のためにある”という建前はあります。私は軍隊が要らないと言っているわけではなく、“防備は必要だけど間違った使い方をしてはいけない”と言いたかった。政治的な意味合いはもちろん含まれています」と答えた。強い信念のようなものを感じる言葉だった。
「CGはストーリーを語るための道具」と言い切るキャメロン監督が伝えたかったメッセージを、脅威の映像体験を通してくみ取ってみよう。【Movie Walker/堀田正幸】