『ハンガー・ゲーム0』が北米No. 1発進!アニメやホラー、オスカー有力作などが一挙にランクイン
ジェニファー・ローレンスが主演を務め、2012年から2015年にかけて4本の映画が製作されたスーザン・コリンズ原作の「ハンガー・ゲーム」シリーズは、累計興収が北米だけで14億ドルを超え、いずれもオープニング興収1億ドルを突破してきたドル箱シリーズ。先週末(11月17日から19日)の北米興収ランキングは、その前日譚を描いた『ハンガー・ゲーム0』(12月22日日本公開)が初登場で1位を獲得した。
これまでのシリーズ作でドナルド・サザーランドが演じていたコリオレーナス・スノーの若き日が描かれる『ハンガー・ゲーム0』。『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)のレイチェル・ゼグラーや若手注目株のトム・ブライス、オスカー女優ヴィオラ・デイヴィスが顔を揃えるなどキャスト陣は一新されたが、メガホンをとったのはシリーズ2作目以降を手掛けてきたフランシス・ローレンス監督が続投。
初日から3日間の興収は4460万ドル。先述の通り、シリーズ過去作が爆発的なヒットを飛ばしてきたことを考えると少々寂しくも見えるが、前日譚作品であることやシリーズ完結から8年のブランクがあることを考慮すると及第点。それに「ハンガー・ゲーム」シリーズは興収にばかり目が行きがちな作品だが、YA小説の映画化という先入観を吹き飛ばす安定した評価を得てきたことを忘れてはならず、それは今作でもキープできている。
批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、シリーズ1作目からの批評家による好意的評価の割合の推移は84%→90%→70%→70%。今作では65%とわずかに数字を落としてはいるものの、同じ系統の作品と比較すればまだまだ抜群の安定感。同サイトにおける観客からの好意的評価の割合は90%と過去一番に高く、それが今後の興収成績に反映されることを期待しておきたい。
またこの週末は、感謝祭前ということもあって、各スタジオから注目の新作タイトルが続々封切られた。ここからはそれらの成績を一挙に紹介していこう。まずはドリームワークス製作の「トロールズ」シリーズの第3弾『Trolls Band Together』は、初日から3日間で興収3000万ドルを記録し2位に初登場。パンデミックの影響をもろに受けPVOD配信の先駆けとなった前作との比較は困難だが、2016年公開の第1作のオープニングと比較すると64%の成績とまずまず。
3位にはイーライ・ロス監督の新作ホラー『サンクスギビング』(12月29日日本公開)がランクインし、上位3作品が完全に入れ替わる活気ある状態に。ベストテン入りを果たした新作は他にもう一本、タイカ・ワイティティ監督がサーチライト・ピクチャーズと再タッグを組んだ『ネクスト・ゴール・ウィンズ』(2024年2月23日日本公開)で、こちらは8位に初登場を果たした。
そして『プロミシング・ヤング・ウーマン』(20)で監督デビュー作ながらアカデミー賞脚本賞に輝いたエメラルド・フェネル監督の新作で、バリー・コーガンとジェイコブ・エロルディが共演した『Saltburn』は、7館での限定公開ながら高アベレージを叩きだして14位に初登場。批評家からの評価は前作ほどの破壊力を有していないが、2作連続の賞レース参戦も充分に期待できるラインだろう。
文/久保田 和馬