『エクソシスト 信じる者』監督が語る、伝説の第1作で最も恐ろしかった瞬間「あの血が吹き出すシーンは、一番鮮明に記憶している」
「1作目の『エクソシスト』との一体感をもたらすために、つながる要素を見つける」
本作のもう一つの注目ポイントは、『エクソシスト』でリーガンの母親クリス・マクニール役を演じた名女優エレン・バースティンが50年ぶりに同役に復帰を果たしたことだ。「多くの人たちにとっては、1作目の『エクソシスト』以来観たことがないシリーズだと思います。それとの一体感をもたらすために、オリジナルとつながる要素を見つけること、また個人的な視点からなにかを作ることは、私自身にとっても大きな意味と価値がありました」と明かす。
今年の12月で91歳になるバースティンは、『エクソシスト』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされると、翌年に出演したマーティン・スコセッシ監督の『アリスの恋』(74)で同賞を受賞。以後もコンスタントに映画出演を続け、ダーレン・アロノフスキー監督の『レクイエム・フォー・ドリーム』(00)やクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』(14)など、現代の映画ファンにとっても馴染みのあるレジェンド女優だ。
「エレンとの最初の電話では、彼女が50年間演じたことのない役柄に足を踏み入れることができるように、彼女にとって意味のあること、彼女のキャラクターのストーリーの続きがどのようなバージョンになるのかを話しました」と、グリーン監督は振り返る。「劇中での彼女のモノローグは、その時の会話からインスパイアされたものです。彼女が感じているネガティブなエネルギーの領域や、その実態についてどう感じていて、エネルギーをどう動かしていくかということを掴むことができました」。
グリーン監督とバースティンは、単なる監督と俳優という関係性を超えて、スピリチュアルな観点から共に探究を重ねて作品を作りあげていったという。「私からはエレン・タッドの『The Infinite View』を、彼女からは『Conversation with God』という本をそれぞれ共有し合い、そこに記された存在の声や視点はどこから来るのかを共同で研究していきました。そしてそれは最終的に、我々のエクソシズムにおけるクリス・マクニールの視点になったのです」。
ジョン・カーペンター監督の名作ホラー「ハロウィン」シリーズを現代に蘇えらせた「ハロウィン」新三部作でも、レジェンド女優ジェイミー・リー・カーティスとの綿密なタッグでシリーズ第1作の直接的な続編を描きだし、見事なフィナーレへと導いたグリーン監督。果たして彼は「エクソシスト」をどのようなかたちで現代に呼び起こしたのか。その手腕に注目しながら、新たな恐怖の幕開けを見届けたい。
構成・文/久保田 和馬