複雑な背景が悲し過ぎ!?『スパイダーマン』シリーズの“ヴィラン”を振り返り[スパイダーマン・タイムズ #3]
ヒーロー映画に不可欠なのが、“ヴィラン(悪役)”の存在。平和を乱し、人々を恐怖させるヴィランを倒すことこそが、ヒーローの使命なのだから。『スパイダーマン』シリーズが高い人気を誇っている理由の一つには、魅力的なヴィランの存在がある。個性豊かな彼らとの確執が、スパイダーマンの活躍を盛り上げているのだ。そこで今回は、どこか人間らしくて哀愁めいたヴィランをシリーズを通しておさらいしてみたい!
記念すべきヴィラン第1号が『スパイダーマン』(02)のグリーン・ゴブリン。その正体はピーター(トビー・マグワイア)の親友ハリー(ジェームズ・フランコ)の父で科学者のノーマン・オズボーン(ウィレム・デフォー)だ。ピーターにも父親のように接していた彼は、人体増強剤により邪悪な別人格に変貌してしまう。華奢なスパイダーマンとは対照的な、いかつい戦闘スーツ姿も圧巻。なお『スパイダーマン3』(07)では、父の復讐を果たすためハリーがニュー・ゴブリンとなってスパイダーマンに戦いを挑む。
『スパイダーマン2』(04)のヴィランはドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ)。もとは愛妻家でピーターも尊敬する科学者だったが、体に装着した作業用アームのAIが暴走し、4本の鋼の腕を持った怪物となる。また、『アメイジング・スパイダーマン』(12)のリザード(リース・イーヴァンズ)の正体も、ピーター(アンドリュー・ガーフィールド)の父の遺伝子研究を引き継いだ科学者だ。自らを実験台にした結果、トカゲの怪物になってしまう。彼らヴィランと化した科学者は、特殊なクモに咬まれ超能力を持ったピーターとはある意味“仲間”。いずれもピーターの理解者だったことも、葛藤のドラマを生み出した。
『スパイダーマン3』(07)のヴィランは犯罪者マルコ(トーマス・ヘイデン・チャーチ)。脱走中に研究所の実験に巻き込まれ、砂のように身体を自由に変形させるサンドマンに。実はピーターの叔父を殺した犯人だが、その理由は病気の娘の治療費を稼ぐためだった。同作のヴェノムは宇宙生物だが、成功に目がくらんだカメラマンに取り憑き悪の塊と化す。
電気を自在に操る『アメイジング・スパイダーマン2』(14)のエレクトロ(ジェイミー・フォックス)は、スパイダーマンに憧れるあまり逆恨みをした電気技師。また同作のグリーン・ゴブリン(デイン・デハーン)は、自身の難病を克服するため悪の道へ突き進む。巨大な戦闘スーツを来たライノ(ポール・ジアマッティ)も登場するが、シリーズ中“単なる悪党”は彼だけだった。
最新作『スパイダーマン:ホームカミング』(8月11日公開)には巨大な翼で大空を飛ぶバルチャーが登場する。その素顔は仲間と工事業を請け負う労働者エイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)。家族や仲間を養うため、犯罪に手を染める。しかもピーター(トム・ホランド)自身とも意外な接点を持っており、事態を思わぬ方向に導いていく。
複雑な背景を持つヴィランを通し、真の正義とは何かを学んでいく…そんなドラマチックな展開も『スパイダーマン』シリーズの大きな特徴。この機会に、人間らしいヴィランの魅力に迫ってほしい!【トライワークス】
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