「T.」最新号は『オッペンハイマー』を大特集!クリストファー・ノーラン監督のインタビューや多面的なコラムで“世界を変えた男”に迫る
第81回ゴールデン・グローブ賞で最多5部門に輝き、第77回英国アカデミー賞では13部門にノミネート。世界中の映画賞で215受賞317ノミネート(※1月19日現在)を獲得するなど、第96回アカデミー賞に向けた賞レースの先頭を走り続けているクリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』(2024年公開)。
本日1月19日よりTOHOシネマズで発売となる「シアターカルチャーマガジン T.【ティー】 No.50」では、日本公開を前に本作を大特集。世界中の映画界を席巻する『オッペンハイマー』とはいったいどんな映画なのか、その知られざる全貌に迫りながら、この特集内容の一部を紹介していこう。
2006年にピューリッツァー賞を受賞したカイ・バードとマーティン・J・シャーウィンの著書「オッペンハイマー」を原作とした本作は、原子爆弾の開発に携わった物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を描く3時間におよぶ重厚な実話劇。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツが原子爆弾開発の研究をしていることに焦りを感じたアメリカは、レズリー・グローヴス将校(マット・デイモン)を中心とした極秘プロジェクト「マンハッタン計画」を立ち上げる。そのリーダーに抜擢された天才物理学者オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は、有能な科学者たちを集め研究に没頭していく。
オッペンハイマー役を演じるのはノーラン監督作品の常連俳優として、これまで5作品でタッグを組んできたキリアン・マーフィー。その妻キティ役はエミリー・ブラントが演じ、アメリカ原子力委員会の委員長ルイス・ストローズ役はロバート・ダウニー・Jr.。そのほか、マット・デイモンやフローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナーといった錚々たる顔ぶれが、ノーラン監督のもとに集結。
昨年7月に北米で公開を迎えると、同日に公開された『バービー』(23)と共に社会現象を巻き起こし、半年経った現在もロングラン上映が続けられている。北米での累計興収は3億2000万ドルを突破。全世界興収も9億5000万ドルを上回り、先述した受賞歴が示す通り批評家からの評価も高い。それでも原爆というセンシティブな題材であるがゆえに日本での公開は一度保留され、「さまざまな議論と検討」の末に、ようやく日本公開を迎えることとなった。
今回満を持して本作の特集が組まれた「シアターカルチャーマガジン T.【ティー】 No.50」では、裏表紙をオッペンハイマー役のマーフィーが飾っている。そこから巻末10ページにかけて展開する特集ページでは、初公開となるスチールカットやノーラン監督がどのような想いで本作を手掛けたのか、またマーフィーがオッペンハイマーという人物を演じるうえでなにを重視したのかがわかる貴重なインタビューを掲載。
ほかにも『福田村事件』(23)などで知られる日本を代表する社会派監督のひとり、森達也監督が本作への期待を語るインタビューや、現代アメリカ政治外交を専門とする政治学者である前嶋和弘による時代背景の解説など、本作を観るうえで知っておきたいポイントとともに『オッペンハイマー』という作品をひも解いていく充実した内容に。日本に生きる我々にとって、知らないわけにはいかない歴史を描く本作。その重厚なテーマを理解する一助となってくれることだろう。
「シアターカルチャーマガジン T.【ティー】 No.50」は全国のTOHOシネマズとTSUTAYA BOOKS(1月22日発売)にて限定発売。是非とも入手して、本作の公開に備えてほしい。
文/久保田 和馬